猫の末期腎不全で現れる主な症状、安楽死の判断における生活の質の評価、そしてホスピスケアの選択肢を、保護者の視点でまとめました。

| 項目 | ステージ1(初期) | ステージ2(軽症) | ステージ3(中等度) | ステージ4(末期) |
|---|---|---|---|---|
| 血中クレアチニン(mg/dL) | <1.6 | 1.6~2.8 | 2.9~5.0 | >5.0 |
| SDMA(µg/dL) | <18 | 18~35 | 36~54 | >54 |
| 主な症状 | ほとんどない | 多飲・多尿 | 体重減少・嘔吐 | 尿毒症・食欲廃絶 |
| 治療目標 | 進行の遅延 | 食事管理 | 輸液・薬物 | QOLの維持 |
IRIS 2023ガイドラインに基づきます。個体ごとに数値と症状には差があります。

今すぐ病院へ行くべき緊急のサイン
次の症状のいずれかが見られた場合は、24時間以内に動物病院を受診してください。末期の猫が意識を失ったり、呼吸が荒くなったりした場合は、緊急事態です。 - 12時間以上水を飲まない - けいれんや発作が1回でも発生する - 体温が37度未満に下がる(低体温) - 呼吸が速く、口を開けてハアハアと息をする - 意識レベルの低下——呼びかけても反応がない、またはふらつく この段階からは、回復よりも「快適さ」がより重要な治療目標となります。

| 項目 | 評価内容 | 0~10点基準 |
|---|---|---|
| Hurt(痛み) | 呼吸・痛みのコントロールが可能? | 10=快適、0=激しい痛み |
| Hunger(食欲) | 自力で食べるか? | 10=よく食べる、0=強制給餌 |
| Hydration(水分) | 脱水の程度 | 10=正常、0=皮下輸液が必要 |
| Hygiene(清潔) | 自力でグルーミングするか? | 10=清潔、0=失禁・汚れ |
| Happiness(幸福) | 関心・反応があるか? | 10=活気、0=無反応 |
| Mobility(移動) | 自力で動くか? | 10=正常、0=起立・歩行不能 |
| More good than bad days | 良い日のほうが多いか? | 10=ほとんど良い、0=ほとんど悪い |
合計35点未満が1週間以上続く場合は、獣医師と安楽死を相談します。(Villalobos QoL Scale基準)
安楽死の手順はどのように進められますか?
獣医師は飼い主様へ十分な説明を行います。一般的に2つの段階で進められます。 1. - 鎮静段階: 鎮静剤の注射で深い眠りにつかせます(所要時間は5〜10分)。飼い主様がそばにいて、最後の別れを告げることができます。 2. - 安楽死薬物の投与: 静脈から麻酔薬を注入すると、呼吸と心臓が穏やかかつ速やかに停止します。米国獣医師協会(AVMA)のガイドラインに従い、痛みなく進行します。 所要時間は通常15〜20分であり、飼い主様が一緒にいるかどうかを選択できます。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Polzin DJ, Chronic Kidney Disease, in Nephrology and Urology of Small Animals, Wiley-Blackwell
[2] AVMA Guidelines for the Euthanasia of Animals: 2020 edition, American Veterinary Medical Association
[3] International Renal Interest Society (IRIS) Staging of CKD, 2023 Revision
[4] Plumb's Veterinary Drug Handbook, 10th Ed., Pentobarbital monograph