RASTは、血液中のアレルギー原因物質に対する抗体を測定する血清検査です。アトピー性皮膚炎の診断後、免疫療法(アレルゲン特異的免疫療法)の準備段階で補助的に用いられます。

| 項目 | RAST血清検査 | 皮内(皮膚)アレルギー検査 |
|---|---|---|
| 検査方法 | 血液を1回採血 | 毛を剃り、皮膚内にアレルゲンを注入 |
| 麻酔の要否 | 不要 | 鎮静/麻酔が必要な場合が多い |
| 薬物の中止期間 | 比較的短い | ステロイド・抗ヒスタミン薬の長期中止が必要 |
| 正確性(ゴールドスタンダード比) | 補助的 | 獣医皮膚科専門医基準の標準 |
| 偽陰性・偽陽性の可能性 | 比較的高い | 低いが判読の経験が必要 |
| 主に活用される状況 | 専門医へのアクセスが難しい場合・免疫療法の準備 | 正式なアトピー診断後の免疫療法の設計 |
どちらの検査も「アトピーではない子」に用いると、結果が誤解を招くことがあります。

RAST検査を受ける前に必ず確認すべき点
検査の前に、原因となる疾患を十分に除外するプロセスをまず踏む必要があります。具体的には、① ノミやマダニなどの寄生虫予防薬を正しく使用しているか、② 加水分解食などで食物除去試験を十分な期間実施しているか、③ 皮膚に細菌や酵母(マラセチア)の感染が併存していないか、皮膚細胞検査などで確認します。アレルギー検査は、このように寄生虫・細菌感染・食物アレルギーを先に除外した上で検討するのが正しい順序です。また、一部の薬物は血清IgE検査の結果に影響を与える可能性があるため、どのような薬であっても独断で服用を開始・中止・変更せず、必ず担当の獣医師と相談して検査時期を決定してください。担当の獣医師が、服用中の薬の種類と期間を考慮し、適切な検査タイミングを判断してくれます。

猫や小型犬の飼い主さんが特に注意すべき点
猫の皮内テスト(IDT)と血清IgE検査(ASIS)はどちらも標準化が十分に確立されておらず、偽陰性や偽陽性の結果が生じる可能性があるため、検査結果はより慎重に解釈する必要があります。実際、血清検査ではアレルギー性皮膚疾患を持つ猫を、健康な猫や他の痒みを伴う疾患を持つ猫と明確に区別できないという限界も報告されています。特に、過度に頻繁に掻いたり、自分で毛を抜いてしまう猫の場合は、アレルギー検査よりも先にノミや食事の排除試験を行うことが優先されます。また、特定の品種ではアトピーがより発症しやすいとされていますが、いずれの場合も「検査結果=治療」ではなく、生涯にわたる管理の観点から、皮膚バリアの保護、入浴ルーティン、栄養管理を併せて行うことが重要です。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] BSAVA Manual of Canine and Feline Dermatology, 4th Edition - Allergy testing and allergen-specific immunotherapy chapter
[2] Veterinary Immunology, 11th Edition - Diagnostic Criteria for Canine Atopic Dermatitis
[3] Favrot C. et al., A prospective study on the clinical features of chronic canine atopic dermatitis and their diagnostic value, 2010
[4] The Dog Care Handbook - Things I Wish My Vet Had Told Me