猫の慢性腎臓病におけるIRISの1〜4期基準、各期ごとの症状と治療・管理法、さらにタンパク尿や高血圧のサブ分類まで、獣医学の基準に基づいてまとめました。

| 項目 | ステージ1 | ステージ2 | ステージ3 | ステージ4 |
|---|---|---|---|---|
| クレアチニン(mg/dL) | <1.6 | 1.6〜2.8 | 2.9〜5.0 | >5.0 |
| 腎機能の障害 | ごく軽度 | 軽度 | 中等度 | 重度 |
| 主な症状 | ほとんどなし | 多飲多尿 | 体重減少・食欲低下 | 嘔吐・無気力 |
| 平均生存期間 | もっとも良好なほう | 比較的良好 | 次第に短くなる | もっとも短い |
生存期間はIRISステージが上がるほど短くなる傾向があり、タンパク尿・高血圧の併発の有無によって大きく変わります。具体的な期間は個体差が大きいため、獣医師と相談して判断してください。

ステージ判定時に必ず確認すべき点
クレアチニン値だけで腎臓病のステージを判断することはありません。脱水状態、食事、筋肉量によって数値が変動するため、正確な評価には最低でも2週間以上の間隔を空けて2回以上測定する必要があります。また、早期腎臓指標であるSDMA、尿比重、尿タンパク/クレアチニン比、血圧測定もすべて含めて評価すべきです。単一の検査結果だけで不安になったり安心したりせず、必ず獣医師と総合的な判断を行ってください。

段階別再検査の周期
- 1~2期:状態が比較的安定しているため、再検査の間隔は比較的長く設定します。 - 3~4期:状態の変化が速いため、より短い間隔で頻繁に再検査を行います。 期が進むにつれて再検査の間隔が短くなるのは、状態の変化が速くなるためです。具体的な再検査の頻度は、タンパク尿や高血圧の有無、そして状態の安定度に応じて、獣医師が個別に決定します。再検査時には血液検査だけでなく、尿検査や血圧測定も併せて行う必要があります。数値の変化の推移を見ながら治療方針を調整することが、長期的な管理の鍵となります。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Langston CE, Eatroff AE. Chronic Kidney Disease. Small Animal Critical Care Medicine, 3rd Edition
[2] The Cat, Clinical Medicine and Management, 2nd Edition - Urinary Tract Disease: Chronic Kidney Disease
[3] IRIS (International Renal Interest Society) Staging of CKD Guidelines, 2023 Update