犬の急性腎不全は、腎機能が急激に低下する緊急の疾患です。原因別の兆候、診断・治療のステップ、回復の可能性など、飼い主さんが知っておくべき重要なポイントをまとめました。


今すぐ救急病院へ連れて行かなければならないサイン
次のいずれかに該当する場合は、一刻も早く24時間対応の動物救急病院へお越しください。6~12時間以上排尿が全くない場合、有毒物質(ブドウ・レーズン・不凍液・人用の鎮痛剤・汚染が疑われる肉乾きのおやつなど)を摂取した疑いがある場合、繰り返す嘔吐に伴い歯茎が蒼白になっているか、体温が38度以下に低下している場合などが挙げられます。腎臓の障害は原因を早期に除去できなければ、経過とともに不可逆的に進行する恐れがあるため、到着が早いほど正常な回復の可能性が高まります。
| 項目 | 急性腎不全(AKI) | 慢性腎不全(CKD) |
|---|---|---|
| 発症の速さ | 数時間~数日 | 数か月~数年 |
| 腎臓の大きさ(超音波) | 正常または腫大 | 小さく形が不規則 |
| 貧血の併発 | ほとんどない | 高頻度で併発 |
| 回復の可能性 | 原因を除去すれば可能 | 元に戻せず進行を管理 |
| 代表的な原因 | 中毒物質、感染、脱水 | 加齢性変性、遺伝、慢性炎症 |
獣医内科学の教科書・IRISガイドラインに基づいています

回復の可能性は原因によって異なります
急性腎不全は慢性腎不全とは異なり、原因を早期に除去すれば腎機能がほぼ正常に回復する可能性があります。ただし、無尿が24時間以上続いた場合や、不凍液(エチレングリコール)中毒や重症感染症のように腎細胞が広範に破壊された場合には、一部の機能が永久的に損傷し、慢性腎不全に移行する可能性があります。そのため、「いかに早く病院に到着できたか」が回復率を左右します。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Notes on Canine Internal Medicine, 4th Edition — Acute Kidney Injury chapter
[2] Clinical Medicine of the Dog and Cat, 4th Edition — Azotemia and AKI differentials
[3] Urinalysis in the Dog and Cat — CKD vs AKI 감별 기준
[4] IRIS (International Renal Interest Society) AKI Grading Guidelines, 2023