猫のトキソプラズマは、糞便中の嚢子によって人に感染する人獣共通寄生虫感染症です。妊婦の感染リスクと家庭内での予防法をまとめました。


妊婦にすぐに確認すべきサイン
妊娠中に初めて感染すると、胎児に先天性トキソプラズマ症を引き起こす可能性があります。次のような場合は、産婦人科や感染症内科での受診が必要です。 - 妊娠が確認された直後から一度も抗体検査を受けていない場合 - 妊娠中に猫のトイレの砂かえりを直接行い、発熱・リンパ節の腫れ・筋肉痛などの症状がある場合 - 十分に加熱されていない肉、生ハム、非殺菌乳製品を摂取した後に体調が悪化した場合 猫を里子に出すことが解決策ではありません。排泄物の適切な管理と食事の衛生管理を行う方が、はるかに効果的です。

覚えておいてください——猫を諦める必要はありません
産婦人科で妊娠を告げられると、「猫を他の家に預けた方がいい」と助言を受ける方が少なくありません。しかし、獣医学の教科書に記載されている飼い主向けの予防ガイドラインでは、手洗い、毎日の糞便の除去(排出された嚢子が感染性を獲得するには最低24時間かかります)、肉の十分な加熱、免疫不全者や妊婦による猫砂の清掃回避といった衛生対策を徹底すれば、猫と同居しても感染リスクを大幅に低減できると説明されています。むしろ、猫を新しい環境へ移動させることによるストレスや、飼い主の精神的な損失の方がより大きな問題となる可能性があります。不安がある場合は、人間医と獣医の両方に相談し、合理的な判断を下してください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Little SE. The Cat: Clinical Medicine and Management, 2nd Edition — Chapter on Zoonotic Parasites and Toxoplasmosis
[2] Bowman DD. Principles and Practices of Canine and Feline Clinical Parasitic Diseases — Chapter 16: Toxoplasma gondii
[3] Barrs VR, Martin P, Beatty JA. Antemortem diagnosis and treatment of toxoplasmosis in two cats on cyclosporin therapy. Aust Vet J. 2006;84:30–35
[4] Bernsteen L, Gregory CR, Aronson LR, et al. Acute toxoplasmosis following renal transplantation in cats. JAVMA