犬の鼻血は、外傷から血液凝固障害、腫瘍まで原因が多岐にわたります。緊急度を3段階で判断する方法、段階別の応急処置法、そして直ちに動物病院を受診すべき危険な兆候をまとめました。

| 項目 | 鼻血の特徴 | 随伴症状 | 行動の指針 |
|---|---|---|---|
| 1段階・軽度 | 片側のみ、1〜2分以内に止まる | なし | 自宅で観察/再発時は病院 |
| 2段階・注意 | 5分以上持続または再発 | くしゃみ、濁った鼻水 | 当日中に動物病院を受診 |
| 3段階・危険 | 両側同時/10分以上持続 | 血便・血尿・歯茎の出血 | 直ちに救急動物病院へ |
1段階でも48時間以内に再発した場合は、病院で原因検査を受ける必要があります

今すぐ救急病院へ連れて行かなければならない状況
鼻血が10分以上止まらない場合、両方の鼻孔から同時に出血している場合、あるいは歯茎・目・肛門など他の部位からの出血を伴う場合は、直ちに緊急対応可能な動物病院へお越しください。鼻だけでなく複数の部位で同時に出血が見られるのは、血小板減少症などの全身的な止血機能の障害を示すサインであり、より危険な状態です。特に、ラット毒(抗凝固剤系殺鼠剤)を誤飲した可能性がある場合は、凝固因子が破壊されて大量出血に発展する恐れがあるため、一刻も早く病院へお越しください。可能であれば、誤飲した物質の包装や情報をお持ちいただくと、診断や治療の助けになります。

この品種は鼻血に特に注意が必要です。
ダックスフンドやゴールデン・レトリバーは、フォン・ヴィレブランド病(血液凝固の遺伝性疾患)にかかりやすい傾向があります。また、ブルドッグやパグ、シーズーなどの短頭種は鼻の構造上、粘膜が弱く、わずかな外傷でも出血しやすい特徴があります。これらの犬種で鼻血が出たことがある場合は、動物病院で凝固機能の検査を受けておくと安心です。


タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Ettinger SJ, Feldman EC, Côté E. Textbook of Veterinary Internal Medicine, 8th Ed. Chapter 37: Disorders of Hemostasis — Epistaxis. Elsevier, 2017.
[2] Nelson RW, Couto CG. Small Animal Internal Medicine, 6th Ed. Part Four: Hematology and Immunology. Elsevier, 2019.
[3] Mathews KA. Veterinary Emergency and Critical Care Manual, 3rd Ed. Lifelearn, 2017.