トラマドールは、犬や猫の軽度から中等度の痛みを和らげるために使われる合成鎮痛剤です。獣医師の処方なしで使用することはできませんし、副作用や併用禁忌となる薬物についても必ず確認する必要があります。

| 項目 | 犬 | 猫 |
|---|---|---|
| 鎮痛の強度 | 弱~中等度 | 中等度(活性代謝物M1の生成量が多い) |
| 主な用途 | 術後・慢性痛の補助 | 術後・慢性(変形性関節症)の痛み |
| 単独使用 | 限定的(変形性関節症への効果の根拠が弱い) | 比較的有効(変形性関節症への効果の報告あり) |
| 主な副作用 | 鎮静、食欲低下、嘔吐 | 多幸感、鎮静、食欲低下、下痢 |
| 重度の急性痛 | 不適合(単独使用は禁止) | 単独使用は不適合;多剤鎮痛の補助として限定的に活用 |
体重・病態に応じて獣医師が個別に判定します。出典:Small Animal Critical Care Medicine 3rd Ed, The Cat Clinical Medicine 2nd Ed.

併用禁忌・注意が必要な薬剤
トラマドールは他の神経系薬と併用すると、セロトニン症候群(震え・発熱・けいれん)や呼吸抑制のリスクが高まります。以下の薬剤を使用中の場合は、必ず獣医師にお知らせください。 - セロトニン作用薬:フルオキセチン、アミトリプチリンなどの抗うつ薬 - モノアミン酸化酵素阻害薬:セレギリンなど - 中枢神経抑制薬:デクスメデトミジン、ガバペンチン、レベチラセタム、メトカバモール - シメチジン:トラマドールの血中濃度を上昇させ、毒性のリスクを増加させる 妊娠中や授乳中の長期投与は、犬の離脱症状の懸念があるため避けるべきです。

特定の品種・状態に注意
一部のワンちゃんは、トラマドールを含む中枢神経作用薬に対して個体ごとに特に敏感に反応することがあります。薬物反応は個体の遺伝的特徴や全体的な健康状態によって異なるため、初診時には必ず獣医師に犬種と既往歴を伝えてください。また、肝臓や腎臓の機能低下、甲状腺疾患、てんかんの既往がある子は、用量の調整が必須です。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Plumb's Veterinary Drug Handbook, 10th Ed — Tramadol
[2] Small Animal Critical Care Medicine, 3rd Ed — Tramadol (Tania Perez Jimenez, DVM, MS, PhD, DACVAA)
[3] Handbook of Veterinary Pharmacology — Opioids chapter, Tramadol section
[4] The Cat, Clinical Medicine and Management, 2nd Edition — Pain management
[5] Grond S, Sablotzki A. Clinical pharmacology of tramadol. Clin Pharmacokinet 43:879-923, 2004