犬の分離不安は、重症度に応じて1~4段階に分類されます。各段階ごとの症状と、それに合わせた行動矯正および薬物治療の基準についてご説明します。

| 項目 | 1段階(軽症) | 2段階(中等症) | 3段階(重症) | 4段階(極度) |
|---|---|---|---|---|
| 持続時間 | 10分以内 | 30分~1時間 | 1~3時間持続 | 外出中ずっと |
| 吠え/鳴き | 時々クンクン | 繰り返し吠える | 持続的なハウリング | 休みなく鳴き叫ぶ |
| 破壊行動 | なし | ドアの前を掻く | 家具・クッションの破損 | 激しい破壊・脱出の試み |
| 排泄の失敗 | まれに | 断続的 | 頻繁に | 毎回 |
| 自傷のリスク | なし | なし | 足を舐める・毛を抜く | 皮膚の出血・歯の損傷 |
| 推奨される治療 | 環境の調整 | 行動矯正 | 行動矯正+相談 | 薬物+集中的な矯正 |
段階は臨床的な基準であり、獣医師に相談のうえ正確な診断が必要です

3~4段階の場合は必ず動物病院を受診してください
次のいずれかの兆候が見られる場合、行動修正だけでは危険です。直ちに獣医師の相談を受けてください。 - 足をひっきりなしに舐め、皮膚がはがれたり出血したりする - 扉や壁を引っ掻いた結果、爪が折れたり歯が損傷したりする - 窓やバルコニーから飛び降りようとする脱出の試みがある - 呼吸が荒く、過剰に涎を垂らす このような場合、飼い主だけで行動修正を試みると症状が悪化する可能性があります。獣医師が体重と症状に応じて、抗不安薬の投与を判断します。

絶対にやってはいけないこと
善意から行った行動が、分離不安を悪化させるケースが少なくありません。特に罰は、状況をさらに悪化させる原因となります。 - ❌ 破壊の跡を見て叱る(時間が経つと、犬は叱られる理由を理解できません) - ❌ 外出前に過度なスキンシップや別れの挨拶をする(不安を煽ります) - ❌ 帰宅直後に興奮して挨拶する(外出と再会のギャップを強調してしまいます) - ❌ 突然、一日中一人きりにする - ❌ 別の犬を迎え入れることで解決を図る(かえってストレスが増加します)

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Landsberg G, Hunthausen W, Ackerman L. Behavior Problems of the Dog and Cat, 3rd ed. Saunders Elsevier, 2013
[2] Horwitz DF, Mills DS. BSAVA Manual of Canine and Feline Behavioural Medicine, 2nd ed. BSAVA, 2009
[3] Overall KL. Manual of Clinical Behavioral Medicine for Dogs and Cats. Elsevier Mosby, 2013
[4] Shaw JK, Martin D. Introduction to Animal Behavior and Veterinary Behavioral Medicine. Wiley-Blackwell, 2023