末期がんのペットの生活の質を守るための痛み管理、食欲・水分補給の維持、ホスピスケアの方法を獣医学の根拠に基づいてまとめました。飼い主が自宅で実践できる具体的な方法も掲載しています。

| 項目 | 積極的治療 | 緩和ケア |
|---|---|---|
| 目標 | 腫瘍の除去・サイズの縮小 | 痛み・不快感の最小化 |
| 主な方法 | 手術・抗がん剤・放射線 | 鎮痛薬・輸液・食事調整 |
| 入院の頻度 | 多い | ほとんどなし(在宅中心) |
| 副作用の負担 | 嘔吐・脱毛・免疫低下の可能性 | 最小限 |
| 飼い主の役割 | 治療スケジュールの管理 | 日常のケア・観察が中心 |
| 費用構造 | 治療単価が高い | 薬・栄養が中心 |
この2つの方法は排他的ではありません。一部の抗がん治療を続けながら緩和ケアを併用する場合も多いです。

このような痛みの兆候が見られた場合は、すぐに獣医師にご相談ください。
ペットは痛みを隠す本能を持っています。次のような兆候が見られたら、すぐに担当の獣医師にご連絡ください。 - 普段より動きが少なくなり、隅っこに隠れる - 触られたり抱かれたりすると、うなったり避けたりする - 呼吸が浅く速くなったり、ハァハァと息切れがひどくなる - 瞳孔が開き、焦点がぼやける - 歯ぎしり、歯を噛みしめる動作、よだれ垂れが繰り返される 痛みは我慢させず、「予防的に」コントロールすることが基本です。

生活の質(QoL)のチェック——「良い日」の方が多いですか?
獣医学では、末期のペットの状態を感情ではなく客観的に判断するために、QOL(生活の質)スコアを活用しています。痛み(Hurt)、食欲(Hunger)、水分補給(Hydration)、衛生状態(Hygiene)、幸福感(Happiness)、運動能力(Mobility)、そして「良い日と悪い日のどちらが多いか」を項目ごとに点数化し、総合的に評価します。スコアが持続的に低下したり、「悪い日」が「良い日」より多くなる傾向が見られたりする場合は、飼い主様と獣医師が次のステップ(ホスピスケアの強化または安楽死)について共に話し合う時期となります。多くの場合、寿命の長さよりも生活の質の方が重要になるため、感情ではなく客観的な指標に基づいて判断することが、ペットにとって最善の選択となります。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Withrow and MacEwen's Small Animal Clinical Oncology, 6th Edition, Chapter 15: Paraneoplastic Syndromes and Palliative Care
[2] BSAVA Manual of Canine and Feline Oncology, 3rd Edition, Chapter on End-of-Life Care
[3] AAHA/IAAHPC End-of-Life Care Guidelines (2016)
[4] Veterinary Society of Surgical Oncology, Palliative Care Position Statement