犬や猫に使用する輸液は、大きく分けて生理食塩水、リンゲル液、5%ブドウ糖液の3種類です。それぞれの輸液の成分と用途をわかりやすくまとめました。

| 項目 | 生理食塩水(0.9% NaCl) | リンゲル液(LRS/ハルトマン液) | 5%ブドウ糖(D5W) |
|---|---|---|---|
| 主成分 | ナトリウム・塩素 | ナトリウム・塩素・カリウム・カルシウム・乳酸 | ブドウ糖 + 水 |
| 浸透圧 | 等張性 | 等張性 | 等張性(体内では低張性) |
| 主な用途 | 脱水、高カリウム血症、低ナトリウム血症の補正 | 一般的な脱水、手術、ショック | 低血糖、自由水の補充 |
| 注意すべき状況 | 心臓・腎臓疾患時はナトリウム過負荷に注意 | 肝不全時は乳酸代謝に注意 | 血糖の急変に注意 |
DiBartola, Fluid Therapy in Small Animal Practice 第4版基準

自宅で直接点滴を行うべきではない理由
輸液の種類や投与速度は、体重や疾患、電解質の数値を総合的に判断して獣医師が決定する専門的な領域です。誤った輸液を急速に投与すると、肺水腫や心不全、電解質の急激な変動など、深刻な合併症を引き起こす可能性があります。慢性腎臓病のように獣医師が処方している場合は、自宅で皮下輸液を行うことが許可された治療法となります。しかし、「水分補給だから大丈夫だろう」という考えで、処方なしに勝手に輸液を行うことは非常に危険です。必ず病院で状態を確認し、獣医師の処方通りに進めてください。

猫の輸液にはさらに注意が必要です
猫は犬よりも体液調節機能が繊細なため、輸液の速度と量ともにより慎重に調整する必要があります。特に心筋症(心臓疾患)のある猫では、輸液速度が速いと肺水腫のリスクが大幅に高まります。外見上は健康そうに見えても潜在的な心臓疾患がある可能性があるため、猫の輸液前には心臓状態の評価が推奨されます。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] DiBartola SP, Fluid, Electrolyte, and Acid-Base Disorders in Small Animal Practice, 4th Edition, Saunders
[2] Ettinger SJ, Textbook of Veterinary Internal Medicine, 8th Edition, Elsevier
[3] Silverstein DC, Small Animal Critical Care Medicine, 2nd Edition, Saunders