消化器系のトラブルを抱える犬や猫のために、腸管用療法食の役割、一般フードとの違い、そして適切な与え方を獣医学的な根拠に基づいてまとめました。

| 項目 | 低脂肪消化器用 | 加水分解タンパク質 | 高繊維消化器用 |
|---|---|---|---|
| 主な適応 | 急性下痢、膵炎(犬)、高脂血症 | 食物アレルギー、慢性腸疾患 | 大腸性下痢、便秘、肛門嚢の問題 |
| 脂肪含有量 | 低い | 普通 | 普通 |
| 繊維含有量 | 低い | 低い | 高い |
| 推奨給与期間 | 短期~中期 | 中期~長期 | 中期 |
製品ごとに細かい栄養構成が異なるため、必ず獣医師の処方に従って選んでください。低脂肪消化器用の食事は犬では臨床的根拠が明確ですが、猫では脂肪制限が必ず必要だという獣医学的根拠が不足しています。猫の飼い主さんは必ず獣医師と別途相談したうえで決めてください。

自己判断で長期間与えるのは避けてください。
腸管用の処方食は「特殊目的食」に分類されるため、健康なペットが長期間食べ続けると、かえって特定の栄養素が不足する可能性があります。特に加水分解タンパク質配合の餌は、下痢が止まったからといってそのまま継続して与えるべきものではありません。最低でも4〜8週間与えた後には必ず再診を受け、通常の食事への復帰や維持食への切り替えについて、獣医師と相談して決定する必要があります。

猫の場合、「食べないこと」の方がより危険です。
猫は、食欲減退や自発的な断食が持続すると、脂肪肝(肝脂質症)を発症する可能性があります。獣医学の教科書でも、食欲低下を示す猫において脂肪肝は頻繁にみられる深刻な合併症であり、断食は絶対に避けるべきであると記載されています。処方食に切り替えたのに食べない場合は、無理に断食させるのではなく、既存のフードと混ぜる方法や、嗜好性の高いウェットタイプの処方食に切り替える方法などを獣医師と相談する必要があります。肥満が著しい猫や、最近急激に体重が減少した猫は、食欲低下時に特に細心の注意を払って管理し、速やかに獣医師に相談してください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Fascetti AJ, Delaney SJ. Applied Veterinary Clinical Nutrition, 2nd Ed. Wiley-Blackwell.
[2] Schaer M, Gaschen F. Clinical Medicine of the Dog and Cat, 4th Ed. CRC Press.
[3] Hand MS et al. Small Animal Clinical Nutrition, 5th Ed. Mark Morris Institute.