難産は、犬や猫の分娩が正常に進まない緊急事態です。いつ病院へ連れて行くべきか、帝王切開が必要となる基準をまとめました。


すぐに救急外来を受診すべき状況
次のいずれかに該当する場合は、一刻も早く24時間対応の動物病院へお越しください。難産は短時間で犬・猫と母犬・母猫の両方の命が危険にさらされるため、手術の判断が下れば時間との勝負となる緊急事態です。 - 緑色または暗紅色の分泌物が出た後、犬・猫が続いて出てこない - 胎児の一部が産道に見えるが、出てこずに引っかかっている - 母犬・母猫の意識が朦朧としている、または極度に脱力し、体温が低下している - 出血が止まらず、継続している - 母犬・母猫が全身に痛みを示している(強い無気力、発熱など)か、予定分娩日を1週間以上過ぎている

| 項目 | 自然分娩が可能 | 医療的介入が必要 | 直ちに帝王切開 |
|---|---|---|---|
| 陣痛の強さ | 規則的で強い収縮 | 弱い収縮が数時間以上 | 強い陣痛が20分以上あっても反応なし(犬の基準) |
| 分泌物 | 透明またはやや血性 | 血性が増加 | 暗緑色・悪臭 |
| 胎仔の間隔 | 正常な間隔で続く | 間隔が次第に長くなる | 次の仔が出てこず長く停滞 |
| 母体の状態 | 活発で安定している | 疲労・不安 | 消耗・体温低下 |
| 胎仔の心拍 | 1分間180回以上 | 1分間150〜180回 | 1分間150回未満 |
最終的な判断は、獣医師が超音波・レントゲン・臨床状態を総合して決定します。陣痛の持続時間や新生仔の間隔などの詳細な基準は、犬と猫で異なる場合がありますので、担当の獣医師にご確認ください

品種別の注意点
ブルドッグ、フレンチブルドッグ、ボストンテリア、パグなどの短頭種は、骨盤が狭く犬の頭が大きいため、選択的帝王切開が基本的におすすめされます。チワワ、ポメラニアン、ヨークシャー・テリアなどの超小型犬も難産のリスクが高いです。猫は通常、自然分娩がスムーズですが、ペルシャやエキゾチックショートヘアなど短頭種の特徴を持つ品種は、犬の短頭種と同様のリスクがあります。妊娠が確認されたら、出産予定日の1週間前には必ず担当の獣医師と分娩計画について相談してください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Ettinger SJ, Feldman EC. Textbook of Veterinary Internal Medicine, 8th Edition. Chapter: Canine and Feline Reproduction
[2] Johnston SD, Root Kustritz MV, Olson PNS. Canine and Feline Theriogenology
[3] BSAVA Manual of Canine and Feline Reproduction and Neonatology, 2nd Edition