自宅でペットがやけどを負った場合の、ぬるま湯による冷却(15〜20分)の原則、絶対に避けるべき民間療法、そして動物病院を受診すべき基準についてまとめました。

| 項目 | 1度熱傷 | 2度熱傷 | 3度熱傷 |
|---|---|---|---|
| 損傷範囲 | 表皮(皮膚の最も外側の層) | 表皮+真皮の一部 | 皮膚全層(表皮・真皮全体) |
| 主な症状 | 発赤・軽い痛み | 水ぶくれ・強い痛み・浸出液 | 黒色または黄白色の変色・感覚の低下 |
| 毛の状態 | 毛包が保たれる(毛はそのまま) | 浅ければ保たれ、深ければ毛包が消失 | 毛包の消失(毛が完全に焼ける) |
| 家庭での処置 | 流れる冷たい水(12〜18℃)で20分冷却 | 冷却後すぐに病院へ | 生理食塩水ガーゼで覆いすぐに病院へ |
| 病院受診の緊急度 | 当日の受診をおすすめ | すぐに来院 | 救急搬送 |
獣医救急医学の教科書基準では、ペットは毛で覆われているため飼い主の目に見えるよりも損傷が深いことがあり、熱傷は数日かけて損傷範囲が現れることもあります。

絶対にやってはいけない民間療法
ペットの火傷に、氷・バター・味噌・歯磨き粉・焼酎・ワセリン・人間用の火傷軟膏を安易に塗ってはいけません。氷や冷水は、火傷の治療効果が何もしない場合とほぼ変わらないという研究があり、推奨されていません。また、バター・味噌・歯磨き粉などの食品や家庭用品は、火傷で壊れた皮膚のバリアに細菌感染を引き起こす可能性があります。人間用の軟膏を塗ると、ペットがなめて飲み込んでしまう恐れがあり、傷口を覆ってしまい、獣医師が損傷の程度を確認しにくくなります。火傷には、獣医師が処方した薬(銀サルファジアジン軟膏や医療用ハチミツなど)のみを使用するのが原則です。水疱を破ったり、付着した毛や衣類を無理やり剥がしたりすることも禁止されています。死んだ組織(エスカル)を除去する処置は、病院で行う必要があります。「冷やす、覆う、病院へ」だけを覚えておけば大丈夫です。

このような場合は、迷わずすぐに動物病院へお越しください。
次のいずれかに該当する場合は、家庭での処置だけでは不十分です。火傷の範囲が広い場合(範囲が広いほど全身合併症のリスクが高まり、体表の20%を超えると特に危険です)、顔・目・口・生殖器・関節部位の火傷、水疱が形成されたり、皮膚が黒く・白く変色したりした場合、電気・化学物質が原因の場合、感電後に咳や呼吸困難などの呼吸器異常が見られる場合、痛みが激しく震えたり、飲食を拒否したりする場合。特に火傷は数日かけて損傷範囲が明らかになることがあるため、最初は軽そうに見えても範囲が広く、あるいは深く見える場合は、すぐに来院するのが安全です。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Drobatz KJ, Hopper K, Rozanski E, Silverstein DC, Small Animal Critical Care Medicine, 3rd Edition, Chapter on Thermal Burn Injury, 2022
[2] Sherri Wilson, Feline Emergency and Critical Care Medicine, 2nd Edition, Section on Environmental Emergencies, 2021
[3] Vaughn L, Beckel N, Thermal burn injury in dogs and cats: a review, Journal of Veterinary Emergency and Critical Care, 2012