犬のマスト細胞腫は、皮膚腫瘍の中でもよく見られるものの一つです。早期発見と適切な治療は予後に大きな影響を与えます。飼い主の方が知っておくべき重要な情報をまとめました。



すぐに動物病院を受診すべきサイン
腫瘍が急激に大きくなったり、出血・潰瘍が生じたり、赤く腫れ上がったりした場合は、すぐに病院へお越しください。また、嘔吐、食欲低下、黒色便(タール便)、または貧血による元気のなさなど、全身症状が併発している場合は、消化管潰瘍などの合併症を疑い、早めに受診する必要があります。肥満細胞腫はヒスタミンを放出して全身反応を引き起こす可能性があるため、このような兆しを見逃さず、早期に治療を始めることが重要です。


| 項目 | 治療方法 | 予後 | 再発の可能性 |
|---|---|---|---|
| グレード1(低悪性度) | 手術で完全に切除できればほとんどの場合で完治が期待できます | 良好(ゆっくり進行する良性の経過が多いです) | 低い |
| グレード2(中悪性度) | 手術が基本で、場合によっては放射線・抗がん剤治療を追加します | 予測が難しい傾向にあります(個体差が大きいです) | 中程度 |
| グレード3(高悪性度) | 手術とともに抗がん剤治療を併用します | 不良(浸潤性が強く転移が多く見られます) | 高い |
悪性度(グレード)は組織学的分析の結果に基づいて決定され、治療計画の立案において極めて重要です。生存率などの具体的な予後は、グレードや病期、個体の状態によって大きく異なることがあります。

注意:薬物相互作用と副作用
抗がん剤や免疫療法を服用している際は、他の薬物との相互作用に注意が必要です。特にステロイドや鎮痛剤は副作用を悪化させる可能性があります。服用中に嘔吐、下痢、食欲低下が生じた場合は、すぐに獣医師に連絡してください。自己判断での処方は絶対に禁止されています。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Hawkins E, et al. (2018) Canine mast cell tumors: A review of biology, diagnosis, and treatment. Veterinary Clinics of North America: Small Animal Practice, 48(3), 477-495.
[2] Withrow SJ, et al. (2020) Small Animal Clinical Oncology, 5th Edition. Elsevier.