犬の乳腺腫瘍は、初発情前に去勢・避妊手術を行うことで発生率を0.5%まで抑えられる代表的な予防可能な腫瘍です。時期別のリスクと自宅での検診法をまとめてご紹介します。

| 項目 | 初回発情前 | 1回目〜2回目の発情の間 | 2回目の発情以降 | 2.5歳以降または未避妊 |
|---|---|---|---|---|
| 生涯発症リスク | 約0.5% | 約8% | 約26% | 約23〜26% |
| 予防効果 | ほぼ完全に予防 | かなりの減少 | 予防効果はわずか | 予防効果なし |
| 推奨時期かどうか | 最も推奨 | 次善策 | 他の理由で判断 | 早期検診が必須 |
Schneiderら1969および後続研究の総合です。品種・体重によって絶対数値は異なる場合があります。

去勢・避妊の時期を決める前に、必ず確認してください。
早期の去勢・卵巣摘出術は、乳腺腫瘍や子宮蓄膿症の予防において非常に効果的です。ただし、「生後何ヶ月で去勢・卵巣摘出術を行うのが最も適切か」という点については、獣医学の文献においてもなお議論が続いているテーマです。そのため、すべての犬に一律で「必ず6ヶ月」という基準を適用するのではなく、個体ごとに判断することが望ましいでしょう。特にゴールデンレトリバーやラブラドールレトリバーのような大型犬の場合は、成長速度や骨端線の閉鎖時期、そして去勢・卵巣摘出術後のホルモン変化に伴い生じやすい体重増加(肥満)も踏まえて、獣医師と相談して手術の時期を決定するのが適切です。「とにかく早く行うこと」がすべてのケースで正解ではないという点を、ぜひ覚えておいてください。


このようなしこりが触れたら、すぐに動物病院へお越しください。
- 短期間で急激に大きくなるしこり:2~4週間で目立って大きくなる場合は、悪性の可能性が高いです。 - 硬く、周囲の組織と連動して動かないしこり:良性のしこりは通常、皮膚や周囲の組織に対して滑らかに動かせることが多いですが、悪性のしこりは周囲の組織と癒着しているため、動かすのが難しい傾向があります。 - 潰瘍・出血・滲出液:表面が壊死して潰瘍化したり、滲出液が出たりしている場合は、直ちに診察が必要です。 - 両側に複数のしこり:複数の乳腺に同時にしこりが触知される場合は、悪性の可能性と転移のリスクを併せて評価する必要があります。発見次第、24~48時間以内に動物病院を受診することをお勧めします。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Schneider R, Dorn CR, Taylor DO. Factors influencing canine mammary cancer development and postsurgical survival. J Natl Cancer Inst, 1969
[2] Withrow & MacEwen's Small Animal Clinical Oncology, 6th Edition, Ch.28 Tumors of the Mammary Gland
[3] Sorenmo KU et al., Tumors of the Mammary Gland, in Withrow's Clinical Oncology, 2020
[4] Beauvais W, Cardwell JM, Brodbelt DC. The effect of neutering on the risk of mammary tumours in dogs—a systematic review. J Small Anim Pract, 2012