犬の難聴は、先天性・老化・中耳炎・薬物など、さまざまな原因で起こります。主な兆候や診断方法、さらに品種別のリスク度合いまでを一度にまとめました。

| 項目 | 先天性 | 加齢性 | 炎症性 |
|---|---|---|---|
| 発症時期 | 生後数週以内(幼年期) | 高齢期以降 | すべての年齢 |
| 進行速度 | 固定 | 数か月~数年 | 急性~数週 |
| 片側/両側 | 両側・片側どちらも | 主に両側 | 主に片側 |
| 回復の可能性 | 不可 | 不可 | 早期治療で可能 |
| 主な対応 | 手信号の訓練 | 環境調整 | 抗生剤・洗浄・手術 |
実際の診断は耳鏡検査と獣医師の診察、聴力検査で確定します

すぐに動物病院へ連れて行かなければならない場合
片側の耳で突然の聴力低下、耳からの滲出液や悪臭、頭を強く傾ける・ぐるぐる回るなどの前庭症状が伴う場合は、中耳炎・内耳炎・腫瘍の可能性があり、24時間以内に診察が必要です。また、手術や治療中に抗生物質投与後に突然反応が鈍くなった場合は、薬物による耳毒性を疑い、直ちに担当の獣医師に連絡してください。

特に注意が必要な犬種
白い被毛やマーブル柄の犬種は、先天性の感音性難聴のリスクが比較的高い傾向があります。教科書的には、ボクサー、ダックスフンド、ジャック・ラッセル・テリアなどが白色やマーブル柄に関連して報告されており、それ以外でもダルメシアンのように色素の少ない犬種も注意が必要です。犬を迎える際は、聴力検査の結果を依頼するのが望ましく、繁殖を予定している場合は、難聴のある親犬との交配を避けることが推奨されます。高齢犬は年齢とともに聴力が徐々に、かつ不可逆的に低下する可能性があるため、定期的に聴力状態をチェックしておくのが良いでしょう。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Strain GM, Deafness in Dogs and Cats, CABI, 2011
[2] Ettinger SJ, Textbook of Veterinary Internal Medicine, 8th Ed, Chapter on Neurologic Disorders
[3] Plumb's Veterinary Drug Handbook, 9th Ed — Ototoxic Drugs