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犬がうんちを食べる—食糞症の原因と病院へ行くべきタイミング Q&A

脳/認知Q&Aモンシルジャン獣医学アドバイザリー

犬の糞食癖(食糞症)の原因、行動修正法、そして動物病院を受診する目安を、飼い主の方がわかりやすく理解できるようQ&A形式でまとめました。

犬の食糞症とは何でしょうか?

愛犬の食糞症について確認する飼い主と犬
犬の糞食(食糞症)とは、犬が自分自身や他の動物の糞を食べる行動を指します。獣医学の教科書によれば、糞食は幼い犬に比較的よく見られる正常な探索行動の一つであり、腸内の正常な細菌叢の形成を助ける役割もあります。飼い主様には不快に感じられるかもしれませんが、それ自体は「異常行動」ではありません。成長とともに自然に減っていくことが多いですが、環境を清潔に保たないと習慣化してしまうこともあります。ただし、栄養不足や消化酵素の欠乏(膵臓外分泌不全)、寄生虫、代謝疾患などの医学的な原因が隠れている場合もあります。特に成犬で突然始まった場合や、他の症状が伴う場合は、行動修正の前にまず原因を特定することが先決です。

なぜウンチを食べるのでしょうか?— 医学的・行動的な原因

食糞症の原因は、医学的な原因と行動的な原因に分けられます。 医学的な原因
消化・吸収障害: 膵臓外分泌不全(消化酵素の不足)や炎症性腸疾患(IBD)など、栄養素を正しく消化・吸収できない場合、糞便に未消化の栄養素が残ることがあります。
寄生虫感染症: 消化管の寄生虫が栄養の吸収を妨げる可能性があります。
栄養の偏り・貧血・代謝疾患: 栄養素の欠乏、貧血、糖尿病や甲状腺機能亢進症などの代謝疾患が原因となることもあります。
行動的な原因
母犬の行動の模倣: 母犬が犬の排泄物を処理する行動を真似ている場合があります。
空腹・ストレス: 与えられている食事の量が不足していることや、分離不安などが原因となることもあります。
関心を引くため: 飼い主さんの強い反応が強化剤として作用している場合があります。

どの犬に多く見られますか?

食糞症は、特定の傾向においてより頻繁に観察されます。
年齢: 糞便食は、犬において最もよく見られる正常な探索行動です。
環境: 庭や生活空間に糞便が放置されていると、食べる機会が増加します。環境を清潔に管理しないと、この行動が強化されやすくなります。
多頭飼育: 複数の犬を一緒に飼育している場合、アクセスできる糞便の量が多くなるため、この行動が現れる可能性が高まります。
個体差: 食物への動機が高い犬でより頻繁に報告されますが、実際にはどのような犬でも発現し得ます。
犬の場合、成長に伴って自然に減少することが多いですが、繰り返されるほど習慣として定着する可能性があります。
食糞症が比較的多いラブラドール・ゴールデン・レトリバーの犬

このような場合は、すぐに動物病院を受診してください。

食糞症と一緒に以下の症状が見られる場合は、まず医学的な原因を確認する必要があります。食糞症そのものよりも、基礎疾患の方がより危険な可能性があります。 • 体重が著しく減少している場合 • 糞便が脂っぽかったり、消化されていない食べ物が混じっている場合 • 嘔吐や下痢が繰り返される場合 • 寄生虫が疑われる場合(腹部膨満、肛門周囲のかゆみ) • 突然食糞症が始まった場合(以前にはなかった行動)

病院ではどのように診断するのでしょうか?

獣医さんはまず、医学的な原因を除外するための検査を行います。
糞便検査: 寄生虫の卵や成虫の確認
血液検査: 栄養値、消化酵素値、膵臓機能値
食事の分析: 現在の給餌量とドッグフードの成分の見直し
膵臓が十分な消化酵素を作れていない「膵外分泌不全」が疑われる場合は、別途精密な血液検査を行います。医学的な原因がない場合は行動の問題として分類し、修正計画を立てます。結果に応じて、消化酵素の補助剤や駆虫薬が処方されることがあります。
犬の食糞症の動物病院での診断シーン

自宅でできる矯正方法

医学的な原因がない場合は、行動矯正と環境管理を併用しましょう。
即時の除去: 糞便を食べる前にすぐに片付けるのが最も効果的です。食べる機会そのものを断つことになります。
報酬ベースのトレーニング: 食べようとした瞬間に「待て」の指示を出し、おやつで注意をそらします。罰よりも報酬によるアプローチが重要です。
与え方の調整: 1日2~3回、少量ずつ規則正しく与えて空腹感を軽減します。
運動量の増加: 散歩や遊びの時間を増やし、ストレスや退屈さを解消します。
犬の食糞症に対する報酬ベースの行動修正訓練の場面

矯正する際に絶対にやってはいけないこと

食糞症を防ごうとして、かえって症状を悪化させる行動があります。 • 大声や体罰は厳禁: ストレスが原因の場合、不安がさらに増して症状が悪化します • 過剰な反応は厳禁: 飼い主さんが大きく反応すると、犬は「関心を引く手段」として学習してしまいます • 叱った後の放置は厳禁: なぜ叱られているのか理解できないと、犬の混乱だけが大きくなります 静かに行動を遮断し、正しい行動のみに報酬を与えるアプローチの方が、はるかに効果的です。

矯正がうまくいかないとき — 専門家の助けが必要な場合

3~4週間の集中的な矯正を試みても、その行動が継続する場合は、動物行動学を専門とする獣医師やプロのトレーナーへの相談をご検討ください。 専門家の相談が必要なサイン: • 自宅内でも自分の糞便を食べる場合 • 矯正を試みると攻撃的になる場合 • 分離不安などの他の行動問題が併存している場合 • 与え量や運動量を増やしても改善が見られない場合 行動がうまく矯正されない際には、消化・吸収障害や寄生虫など、隠れた医学的な原因がないか、獣医師と一緒に再確認することが重要です。個々の状況に合わせた行動矯正計画は、獣医師や行動専門家と相談して立てるのが安全です。

この記事を監修した獣医師

Dr. Tony — Punnawat Phongkittirak

Dr. Tony — Punnawat Phongkittirak

獣医師

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。

よくあるご質問

食糞症は人に感染する可能性がありますか?
直接感染するわけではありませんが、寄生虫に感染した糞を摂取した犬の口を通じて寄生虫の卵が伝播する可能性があります。食糞癖のある犬との口移し接触は避け、外出後の手洗いを徹底することが重要です。
パイナップルを食べさせると、異物食が止まるというのは本当ですか?
パイナップルに含まれる酵素が糞の臭いを和らげるという説はありますが、科学的に検証された研究はまだ不足しています。一部の犬で効果があったという報告はあります。ただし、パイナップルは糖分が高いため、少量を与えるようにし、必ず獣医師にご相談ください。
犬が猫のトイレのうんちを食べてしまいます。どうすれば止めさせられますか?
犬が届かない場所にトイレを設置するのが最も効果的です。犬の頭が入らない蓋付きのトイレを使用するか、ベビーゲートでアクセスそのものを遮断してください。また、糞を頻繁に片付けて食べる機会そのものを減らすことも重要です。
子犬の頃に異食癖があった場合、それは一生続くのでしょうか。
必ずしもそうとは限りません。犬の食糞癖は、成長とともに自然に減っていくことが多いです。ただし、繰り返して強化されると習慣として定着してしまう可能性があります。早期に矯正する方が、はるかに効果的です。
栄養剤で異食癖を改善できますか?
栄養不足や消化酵素の欠乏が原因である場合は、消化酵素の補助剤やプロバイオティクスが役立つことがあります。しかし、原因が異なる場合には、栄養剤だけでは効果が限定的です。原因を特定せずに栄養剤を先に与えるよりも、まず獣医師による診断が優先されます。

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参考文献

[1] Fascetti AJ, Delaney SJ. Applied Veterinary Clinical Nutrition, 2nd Ed. Wiley-Blackwell, 2012.

[2] Englar RE. The Dog Care Handbook: Things I Wish My Vet Had Told Me. 5M Books, 2024.

[3] Schaer M, Gaschen F. Clinical Medicine of the Dog and Cat, 4th Ed. CRC Press, 2022.

この情報は獣医学の文献に基づいて作成されており、診断・治療に代わるものではありません。具体的な健康上の問題は獣医師にご相談ください。

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