老犬の認知症(CDS)の1~4段階の症状と、各段階ごとのケアポイントをまとめました。愛犬がどの段階にあるかを素早く判断し、適切に対応する方法をご確認ください。

| 項目 | 第1段階(軽症) | 第2段階(中等度) | 第3段階(重症) | 第4段階(末期) |
|---|---|---|---|---|
| 全体的な重症度 | 症状が軽くまれにしか見られない | 複数の領域で変化が明らか | ほとんどの領域で症状が重い | ほぼすべての領域+症状の悪化 |
| 方向感覚 | ときどきぼんやりする | 慣れた空間で迷う | 家の中で道に迷う | 家族も認識できない |
| 睡眠パターン | 少し遅く眠る | 夜に頻繁に目覚める | 夜通しうろつき・吠える | 昼夜が完全に逆転 |
| 排泄 | 失敗はほとんどない | ときどき失敗 | 頻繁に失敗 | 無意識の排泄 |
| 反応性 | 名前への反応が遅れる | 呼びかけを無視することが多い | ほとんど反応がない | 刺激にほとんど無反応 |
症状の重症度に応じて進行を説明したもので、段階の境界は個体ごとに異なります。正確な判断には他の疾患を除外したうえで獣医師の評価が必要です。

すぐに動物病院を受診すべきサイン
CDS(犬認知症症候群)は、他の脳や代謝疾患と症状が重なることがあります。以下の兆候が見られる場合は、単なる認知症ではない可能性もあるため、24時間以内に動物病院での診察が必要です。 - 突然の発作や、片側へ傾くような歩行 - 数日間で急激な食欲・飲水量の変化 - 片方の目が見えていないような行動 - 歩行中に倒れたり意識を失うエピソード 脳腫瘍、肝性脳症、甲状腺機能低下症はCDSと症状が似ているため、血液検査やMRIによる鑑別が必要です。


どの段階でも役立つケアの基本
進行段階に関わらず、すべてのCDS(犬の認知症症候群)のシニア犬に役立つケアのポイントです。 - 定期的な軽いトレーニング:「お手」「おすわり」などの短い復習は、脳を保護する効果があることが研究で示されています。 - 散歩による刺激:匂いを嗅ぐこと(ノーズワーク)は、脳の活性化に効果的です。 - 抗酸化作用のある食事:獣医師と相談の上、オメガ3脂肪酸、ビタミンE、MCTオイルの摂取を検討してください。 - 一定の日課のリズム:食事や散歩の時間を固定することで、方向感覚の維持に役立ちます。 - 照明の調整:夜間は間接照明を弱く設定し、方向感覚の喪失を防ぎましょう。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Landsberg GM, Nichol J, Araujo JA. Cognitive Dysfunction Syndrome: A Disease of Canine and Feline Brain Aging. Vet Clin Small Anim, 2012
[2] Head E. Neurobiology of the aging dog. Age (Dordr), 2011
[3] Salvin HE, et al. Under diagnosis of canine cognitive dysfunction: a cross-sectional survey of older companion dogs. Vet J, 2010
[4] Introduction to Animal Behavior and Veterinary Behavioral Medicine, Ch.17 Senior Pets