先天性難聴になりやすい犬種や遺伝的要因、早期発見の方法、そして飼い主さんが行うべきケアのポイントについて、獣医学の教科書を根拠にまとめました。

| 項目 | 色素関連の危険因子 | 教科書の備考 |
|---|---|---|
| ボクサー(Boxer) | 白い被毛・色素関連 | 教科書が明示した色素関連型難聴の好発品種 |
| ダックスフンド(Dachshund) | マール・色素関連 | 教科書が明示した色素関連型難聴の好発品種 |
| ジャックラッセルテリア | 白い被毛・色素関連 | 教科書が明示した色素関連型難聴の好発品種 |
| 白い被毛の比率が高い品種 | 白い毛色の比率↑ | 白い被毛が多いほど危険が高まる傾向 |
| マール(merle)毛色の品種 | マール遺伝子 | マールの虹彩・虹彩色の変化とともに現れることもある |
根拠(Notes on Canine Internal Medicine)は、先天性感覚神経性難聴が白い被毛・マール毛色と関連し、ボクサー・ダックスフンド・ジャックラッセルテリアで多いと説明しています。品種ごとの正確な難聴発生率(%)は提示された根拠にないため記載しておらず、発生率は研究・地域によって差があります。

すぐに検査が必要な状況
以下のいずれかに該当する場合は、できるだけ早めに動物病院で聴力検査(BAERなど)を受けることをおすすめします。片側性の難聴は、肉眼ではほとんど見分けがつかないためです。 - ボクサー、ダックスフンド、ジャック・ラッセル・テリアなど、教科書で言及されている色素関連性難聴の好発品種 - 白毛の割合が高い犬、またはマール柄の犬 - 青い目、または虹彩の色の変化・異色症(マールアイ)がある場合 - 親犬に聴覚の問題(遺伝性難聴)の既往がある場合 先天性難聴は遺伝する性質があるため、上記の要因が重なるほど検査の必要性が高まります。

繁殖・譲渡の際に知っておくべきこと
先天性の難聴は遺伝するため、片側または両側の難聴が確認された犬は繁殖から除外することが、国際的な犬種協会の推奨事項です。ダルメシアンについては、親犬の両方がBAER検査で正常と判定された個体のみで繁殖を行うことが推奨されています。犬をお迎えする際には、ブリーダーにBAER検査の結果報告書を必ず請求してください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Strain GM, Deafness in Dogs and Cats, CABI Publishing, 2011
[2] Ettinger SJ, Feldman EC, Textbook of Veterinary Internal Medicine, 8th Edition, Chapter on Peripheral Nervous System Disorders
[3] BSAVA Manual of Canine and Feline Neurology, 4th Edition, Chapter on Deafness