猫のリンパ腫は、形態(大細胞型と小細胞型)や発症部位によって治療方針と予後が大きく異なります。抗がん剤治療と保存的治療の選択基準、そして平均生存期間についてまとめました。

| 項目 | 大細胞型(High-grade) | 小細胞型(Low-grade) |
|---|---|---|
| 進行の速さ | 速い(数週〜数か月) | 遅い(数か月〜数年) |
| 主な発生部位 | 多中心型・縦隔型・消化器型 | 小腸(空腸・回腸)中心 |
| 第一選択治療 | 多剤併用抗がん剤(シクロホスファミド・ドキソルビシン・ビンクリスチン・プレドニゾロン) | 経口クロラムブシル(2mg 隔日)+プレドニゾロン |
| 完全寛解率 | 研究による差が大きく約18〜80%と報告 | ほとんどが長期寛解に到達(正確な割合は研究により異なります) |
| 平均生存期間 | 中央値は最大約41週(範囲4〜120週) | 数か月〜数年の長期寛解が期待 |
| 飼い主さんの負担 | 週1回の通院・静脈注射 | 家庭での経口投薬が中心 |
数値はThe Cat: Clinical Medicine and Management 2nd Ed.(大細胞型腸型の寛解率18〜80%、生存期間中央値は最大41週・範囲4〜120週)とClinical Medicine of the Dog and Cat 4th Ed.(小細胞型はプレドニゾロン+クロラムブシルで長期寛解)に基づいています。個体・研究による差が大きいため、初診で個別の予後を確認するのが正確です。

このような兆候が見られた場合は、すぐに受診が必要です。
次の症状のいずれかが24時間以上続いた場合は、リンパ腫の進行や緊急の合併症が疑われます。すぐに動物病院を受診してください。 - 呼吸が速くなり、口を開けてハァハァと息をする(縦隔型による胸水貯留の可能性) - 嘔吐や下痢が3日以上続き、体重が急激に減少する - 食欲の完全な消失+元気がない+黄疸 - 突然の多飲・多尿と食欲不振(腎臓型+高カルシウム血症の疑い) - 抗がん剤治療中に38℃以下の低体温や39.5℃以上の発熱が見られる

FeLV・FIV陽性の猫は治療計画が異なります
猫白血病ウイルス(FeLV)感染は、一部の研究では薬剤耐性が早く出現し、抗がん剤への反応や生存期間が陰性の猫よりも短くなるという悪予後因子と報告されていますが、その逆を示す研究もあり、まだ一貫して確立されていません。また、猫免疫不全ウイルス(FIV)感染状態自体は予後因子としては確認されていません。それでも、診断時にFeLV・FIV検査を併せて実施し、陽性の場合には免疫状態と骨髄機能をさらに評価した上で、薬の用量を慎重に調整することが安全です。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Little, S. The Cat: Clinical Medicine and Management, 2nd Edition, Chapter on Lymphoma
[2] Schaer, M., Gaschen, F. Clinical Medicine of the Dog and Cat, 4th Edition, Hematopoietic Tumors
[3] Villiers, E., Ristic, J. 100 Top Consultations in Small Animal General Practice, Chapter 83 Lymphoma