猫が頭をすり寄せる「ヘッドバンピング」は、主に愛情表現や縄張りマーキングです。しかし、壁に頭を押し付けて離さない「ヘッドプレス」は脳疾患の兆候である可能性があり、両者を区別することが重要です。

| 項目 | ヘッドバンプ(正常なすり寄り) | ヘッドプレッシング(危険なサイン) |
|---|---|---|
| 姿勢 | しっぽを立てて頬・額を軽くこすりつける | 壁・家具に頭を強く押しつけて動かない |
| 目つき・表情 | 穏やかで半分閉じた目 | ぼんやりして焦点のない目 |
| 反応性 | 名前を呼ぶとすぐに反応する | 呼んでも反応が鈍い |
| 伴う症状 | なし(健康な状態) | ぐるぐる回る旋回・けいれん(発作)・視力低下・食欲低下・精神状態の変化 |
| 持続時間 | 数秒〜短いやりとり | 数分〜数十分持続 |
| 意味 | 愛情・縄張りの表示 | 前脳(forebrain)など中枢神経系の異常の可能性 |
このような様子が見られたら、すぐに病院へ連れて行ってあげてください。
猫が壁の角や家具に頭を押し当ててじっとしているような姿勢を見せたら、ヘッドプレッシング(頭突き)を疑ってください。特に、ぐるぐると回るような旋回歩行、目の焦点の異常や視力低下、けいれん(発作)、普段と異なる鳴き声、食欲の急激な低下、ぼんやりとした精神状態などが同時に現れる場合は、前脳を含む中枢神経系の疾患が疑われます。獣医救急・集中治療の教科書でも、旋回歩行、発作、皮質性盲目、行動や精神状態の変化は前脳疾患の代表的な兆候として説明されており、高血圧性脳症は異常な精神状態や失明、立位困難を引き起こす可能性があると記載されています。このような神経症状が見られた場合は、24時間待たずに直ちに24時間対応の動物病院へ移動し、正確な神経学的評価を受けてください。


猫の神経系の異常、これらの品種は特に注意が必要です
猫も多様な神経系疾患に罹患する可能性があり、一部の遺伝性神経疾患は特定の品種で報告されています。教科書にまとめられている猫の遺伝性神経疾患には、デボンレックスやスフィンクス(先天性筋無力症候群)、バーミーズ(頭顔面奇形)、コラットやバーミーズ(ガングリオシドーシス)など、常染色体劣性遺伝で受け継がれる症例が含まれます。したがって、こうした品種であるか、神経疾患の家族歴がある猫がヘッドプレッシングなどの神経症状を示す場合は、より積極的な検査が必要です。また、高血圧性脳症は異常な精神状態、失明、起立困難を引き起こす可能性があるため、高齢猫でぶつかりやすい行動や精神状態の変化が見られる場合は、普段よりも細かく観察し、血圧測定を含む診察を受けることをお勧めします。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Ettinger, S.J., Feldman, E.C., Cote, E. Textbook of Veterinary Internal Medicine, 8th Ed — Chapter on Neurologic Examination
[2] Bradshaw, J.W.S. Cat Sense: How the New Feline Science Can Make You a Better Friend to Your Pet, 2013
[3] Platt, S.R., Olby, N.J. BSAVA Manual of Canine and Feline Neurology, 4th Ed