満7歳以上の猫を対象とした健康管理チェックリストと予防対策をまとめました。検診の頻度、栄養・環境管理、主要疾患の予防法まで、段階的に解説いたします。

高齢期のケアを始める前に必ず確認してください。
管理プログラムを開始する前に、まず基礎疾患の有無を確認することが大切です。高齢猫では、腎機能・心機能・甲状腺の数値がすでに変化している可能性があるため、基礎血液検査と尿検査なしで食事や補助剤を変更すると、かえって状態が悪化する恐れがあります。初回の高齢期検診で基準値を把握しておけば、その後の微妙な変化をより迅速に察知できます。



| 項目 | 主な症状 | 推奨される検査 | 管理方法 |
|---|---|---|---|
| 慢性腎臓病 | 飲水・排尿の増加、食欲低下、体重減少 | 血液検査(BUN/Cr)、尿検査 | 低リン食、輸液補充、定期健診 |
| 甲状腺機能亢進症 | 食欲は増えるのに体重減少、過活動、嘔吐 | T4血液検査、血圧測定 | 薬物治療または放射性ヨウ素 |
| 糖尿病 | 水を多く飲む、尿が多い、無気力 | 空腹時血糖、フルクトサミン検査 | インスリン投与、食事管理 |
| 高血圧 | 目の充血、突然の視力低下、無気力 | 血圧測定、心臓超音波 | 降圧剤の投与、基礎疾患の治療 |
| 関節炎 | ジャンプを嫌がる、歩き方の変化、トイレの失敗 | レントゲン検査、痛みの評価 | 関節サプリメント、環境改善、痛みの管理 |
この表は参考用です。正確な診断と治療は担当の獣医師にお任せください。

このような症状が見られた場合は、すぐに動物病院へお越しください。
高齢の猫は、症状が急速に悪化することがあります。次のような症状が見られたら、迷わずすぐに動物病院へお越しください。急な目の充血や視力の低下、24時間以上食べ物を拒否する、口を開けたまま苦しそうに呼吸している、後ろ足に突然麻痺が現れる、けいれんや意識の変化などです。高齢期の緊急事態では、時間が予後を分けることが多いため、早急な対応が重要です。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Little SE (Ed.), The Cat: Clinical Medicine and Management, 2nd Edition, Chapter: Diseases and Health Problems of Senior Cats / Health Care Programs for Senior Cats, Elsevier, 2012
[2] Silverstein DC & Hopper K (Eds.), Feline Emergency and Critical Care Medicine, 2nd Edition, Chapter: Geriatric Cats — Physiologic Changes and Special Considerations, Wiley-Blackwell, 2022