犬の軟部組織肉腫は、筋肉・脂肪・血管などの軟部組織に発生する悪性腫瘍です。腫瘍の悪性度(グレード1〜3)によって予後が大きく異なるため、初期症状の発見から手術・放射線・抗がん剤治療、再発予防の管理方法までをまとめました。


すぐに病院へ連れて行かなければならない緊急の症状
次の症状のいずれかが見られた場合は、当日中に動物病院を受診してください。しこりが急激に腫れ上がったり、破れて出血や膿が出たりした場合、足を全く着けられない場合、呼吸が苦しくなったり咳が数日続いたりする場合(肺転移の可能性あり)、食欲がなくなり体力が急激に低下した状態が2日以上続く場合は、緊急事態である可能性があります。


発症リスクの高い犬種と再発の兆候を確認する
軟部組織肉腫は、ゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバー、バーニーズ・マウンテン・ドッグ、ロットワイラー、フラットコテッド・レトリバーなどで好発することが報告されています。これらの犬種は、定期的に皮膚や皮下の腫瘍検査を受けることをお勧めします。手術後に同じ箇所にしこりが再発したり、咳や呼吸の異常、急激な体重減少が見られた場合は、再発や転移の可能性が考えられるため、すぐに動物病院を受診してください。手術後1年間は、2~3ヶ月ごとに手術部位の触診と胸部X線検査を行い、再発がないか確認するのが望ましいです。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Ehrhart NP, Withrow SJ. Soft Tissue Sarcomas. In: Withrow & MacEwen's Small Animal Clinical Oncology, 5th Ed. Elsevier, 2013.
[2] Dennis MM et al. Prognostic factors for cutaneous and subcutaneous soft tissue sarcomas in dogs. Vet Pathol. 2011;48(1):73-84.
[3] Aithal HP et al. Bone Tumors. In: Textbook of Veterinary Orthopaedic Surgery. Springer Nature Singapore Pte Ltd., 2023.