慢性腎臓病(CKD)と診断された犬のための3つの主要な療法食について、栄養成分や臨床データ、そして食欲や病期に応じた選択基準を比較・整理しました。

| 項目 | Hill's Prescription Diet k/d | Royal Canin Renal | Purina Pro Plan NF |
|---|---|---|---|
| タンパク質(DM基準) | 約14.2% | 約14.4% | 約14.0% |
| リン(DM基準) | 約0.42% | 約0.32% | 約0.33% |
| ナトリウム(DM基準) | 約0.21% | 約0.21% | 約0.20% |
| オメガ3(DM基準) | 約0.99% | 約0.66% | 約0.45% |
| カロリー密度 | 普通 | 普通 | やや高い |
| 剤形ラインナップ | ドライフード・缶 | ドライフード・パウチ・缶 | ドライフード・缶 |
| 嗜好性(飼い主報告) | 普通〜良い | 良い | 普通 |
| 主な強み | 臨床データ | 低いリン含有量 | 高カロリー |
各メーカーの公式データシート(2024年基準)に基づく概算値です。ラインナップ・ロットごとに数値が異なる場合があるため、購入前に最新のラベルをご確認ください。


処方食への切り替えは7~10日かけてゆっくり行います。
腎臓病用の療法食は、一般的なドッグフードに比べてタンパク質やリンの含有量が低く、風味も慣れ親しんだものとは異なるため、急に切り替えると食欲低下や消化器症状を引き起こす可能性があります。新しいフードは数日かけて徐々に、従来のフードに少しずつ混ぜて比率を増やしていく形で切り替えるのがおすすめです。ゆっくりと移行することで、拒否反応や胃腸の不調を軽減し、犬がフードを受け入れやすくなります。また、腎臓病は病期(IRIS 1〜4期)によって適切な食事療法が異なり、食事療法ですでに生じた腎臓の損傷を回復させることはできません。そのため、自己判断で療法食を開始せず、必ず獣医師の診断と血液・尿検査を経て決定し、調整を行ってください。勝手に一般的なドッグフードに戻すことは、病状の進行を早める可能性があります。

処方食だけでは不十分です。総合的な管理が不可欠です。
腎臓療法食は、慢性腎臓病の管理における一つの柱にすぎません。リン結合剤、血圧降下薬(ACE阻害薬・ARB)、輸液補助療法、オメガ3脂肪酸の補充などが、病期に応じて併用される必要があります。また、3~6か月ごとに血液検査(BUN・クレアチニン・SDMA・リン)と尿比重、尿タンパク/クレアチニン比(UPC)の検査を行い、療法食が適切かどうかを再評価します。獣医師との定期的なモニタリングが最も重要です。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Langston CE, Eatroff AE. Chronic Kidney Disease. In: Small Animal Critical Care Medicine, 3rd Edition.
[2] International Renal Interest Society (IRIS). IRIS Staging of CKD (modified 2023).
[3] Polzin DJ. Chronic Kidney Disease. In: Textbook of Veterinary Internal Medicine, 8th Edition (Ettinger, Feldman, Côté).
[4] Jacob F et al. Clinical evaluation of dietary modification for treatment of spontaneous chronic kidney disease in dogs. JAVMA, 2002.