ダルメシアンにおける尿酸塩結石は、SLC2A9遺伝子の変異によって生涯にわたり繰り返される遺伝性疾患です。低プリン食の処方食、水分管理、緊急時の閉塞サインに至るまで、生涯にわたる管理方法をまとめました。


オスのダルメシアンにおける尿道閉塞は、24時間以内に緊急対応が必要です。
オスのダルメシアンが8〜12時間以上排尿できない場合、排尿を試みる際に悲鳴を上げたり、腹部が硬く膨らんだりしている場合は、尿道閉塞が進行している可能性が高いです。24時間を過ぎると、腎不全や膀胱破裂により命を落とす恐れがあります。夜間でも構いませんので、24時間対応の動物病院にすぐ連れて行ってください。オスの狭い尿道の構造のため、閉塞はほぼオスにのみ起こります。
| 項目 | 一般フード | 低プリン処方食 | 手作り食(獣医師の監督下) |
|---|---|---|---|
| 平均タンパク質量 | 標準レベル | 低く制限して設計 | 調整可能 |
| プリン体含有量 | 高い | 低い | 低く設計可能 |
| 結石再発抑制の根拠 | なし | 食事管理が結石予防に有用であることが知られている | 症例ごとに変動 |
| 長期給与の安全性 | 不適 | 安全(生涯可能) | 獣医師の監督下で安全 |
| 月費用(10kg基準) | 3,000円〜5,000円 | 8,000円〜10,000円 | 10,000円〜20,000円 |
処方食の例:Hill's u/d、Royal Canin Urinary UC Low Purine。獣医師の処方後にのみ与えてください。


ダルメシアンと暮らす際に気をつけたい健康のポイント
ダルメシアンは、尿酸結石の他にも先天性の聴覚障害、皮膚アレルギー、肝臓疾患など、品種特有の健康リスクに注意が必要です。ただし、具体的な発症頻度は個体や血統によって大きく異なるため、数値で一概に判断するよりも、定期的な健康診断で直接確認することが望ましいでしょう。結石の管理とは別に、血液検査や尿検査を含む定期健康診断を6ヶ月に1回受けることをお勧めします。繁殖を予定されている場合は、親犬の遺伝的素因(尿酸の過剰排出など)を事前に評価することで、犬の生涯の健康負担を軽減することができます。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Bartges JW, Osborne CA, Lulich JP et al. Canine urate urolithiasis. In: Applied Veterinary Clinical Nutrition, 2nd Ed.
[2] Schaer M, Gaschen FP. Clinical Medicine of the Dog and Cat, 4th Ed — Chapter 13 Nephrology/Urology, p.493
[3] Stockham SL, Scott MA. Fundamentals of Veterinary Clinical Pathology, 3rd Ed — Urinary crystals and uroliths chapter
[4] Sink CA, Weinstein NM. Urinalysis in the Dog and Cat — Ammonium urate and amorphous urate crystals
[5] Bannasch D, Safra N, Young A et al. Mutations in the SLC2A9 gene cause hyperuricosuria and hyperuricemia in the dog. PLoS Genet. 2008;4(11):e1000246