腫瘍の病期(TNM)判定は、ペットのがんの進行度を原発腫瘍・リンパ節・遠隔転移の3つの軸で評価する診断手順です。治療方針や予後を決定する上で最も重要な基準となります。

| 項目 | T (原発腫瘍) | N (リンパ節) | M (遠隔転移) |
|---|---|---|---|
| 0期 | 腫瘍なし/上皮内がん | リンパ節転移なし | 遠隔転移なし |
| 1期 | 小さく局所的 | リンパ節転移なし | 遠隔転移なし |
| 2期 | 中程度の大きさ | リンパ節転移なし | 遠隔転移なし |
| 3期 | 大きい、または周囲へ浸潤 | 局所リンパ節転移あり(N1) | 遠隔転移なし |
| 4期 | サイズに関係なし(臓器浸潤・破裂を含む) | リンパ節転移に関係なし | 遠隔転移あり(M1) |
猫の乳腺腫瘍の修正WHO病期分類では、遠隔転移(M1)が確認されるとT・Nに関係なくIV期に分類され、局所リンパ節転移(N1)はIII期から反映されます。段階ごとの腫瘍サイズ(cm)の基準は腫瘍の種類(乳腺・口腔・肥満細胞腫など)によって異なるため、実際の判定は獣医師がその腫瘍の標準表を適用して決定します。

病期を判定せずに治療を開始してはいけない理由
塊を取り除くだけで治療が終わるわけではありません。病期を確定する前に手術を行ってしまうと、すでに転移した腫瘍を見逃したり、切除範囲を誤って再発率が高くなったりする可能性があります。特にマスト細胞腫、軟部組織肉腫、乳腺腫瘍では、病期によって手術の切除範囲が大きく異なります。したがって、FNA(細針吸引細胞診)や組織検査で腫瘍の種類をまず確認し、転移検査も完了した上で治療計画を立てることが標準的な手順です。

飼い主さんが事前に準備しておくと便利なもの
病期判定の検査は、1日で完了しない場合があります。組織検査の結果は通常3~7日、画像診断の読影には1~2日かかります。検査前日の絶食の有無、鎮静や麻酔の必要性、検査費用の目安などを事前に確認し、日程を調整してください。腫瘍を発見した時点での写真、大きさの変化の記録、現在服用中の薬のリストを持参すると、獣医師が正確な判定を下すのに役立ちます。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Withrow, Vail, Page, Withrow and MacEwen's Small Animal Clinical Oncology, 6th Edition, 2019
[2] Owen LN, TNM Classification of Tumours in Domestic Animals, World Health Organization, 1980
[3] Ettinger, Feldman, Cote, Textbook of Veterinary Internal Medicine, 8th Edition, Chapter 343 Tumor Biology and Metastasis