老猫の認知症(猫CDS)の4段階ごとの行動変化と、各段階に応じたケア・治療のアプローチをまとめました。初期のサインから終末期のケアまで、飼い主さんがすぐに確認できるようになっています。

| 項目 | 第1段階(初期) | 第2段階(中期) | 第3段階(進行) | 第4段階(末期) |
|---|---|---|---|---|
| 主な症状 | 軽い方向の混乱 | 夜鳴きの始まり | 排泄の失敗が多い | 認知がほぼ消失 |
| 飼い主の認識 | 見逃しやすい | 明らかに異常 | 日常に支障 | 24時間ケアが必要 |
| 夜間の活動 | 間欠的 | 頻繁に鳴く | 徘徊・鳴きの繰り返し | 睡眠・覚醒の境界が崩壊 |
| 食欲 | 正常 | ときどき忘れる | 器の位置を混同 | 食事拒否が多い |
| 反応性 | やや鈍い | 名前への反応が減少 | 飼い主を認識できない | 刺激への反応がほとんどない |
| 治療への反応 | 非常に良い | 良い | 部分的に改善 | 緩和ケア中心 |
個々の猫ごとに進行速度や症状の組み合わせが異なります。獣医師相談に基づく一般的な分類です。

すぐに動物病院を受診すべきサイン
次の症状のいずれかが急激に現れた場合は、CDS(猫認知症症候群)ではなく、脳疾患・高血圧・甲状腺の問題が考えられます。24時間以内に病院を受診してください。該当する症状としては、片側方向へのみ突然ぐるぐると回る旋回行動、バランスを崩して倒れる、眼球が急速に震える眼球振盪や眼球が片側にずれる斜視、発作、1日以上飲食を拒否する状態などが挙げられます。CDSは徐々に進行する疾患であるため、「急激な悪化」が見られた場合は、常に他の原因をまず疑う必要があります。

他の老猫の疾患と必ず鑑別してください。
猫の認知症(CDS)の症状である夜間の鳴き声、徘徊、食欲の変化は、甲状腺機能亢進症、高血圧、慢性腎臓病でも同様に現れます。獣医内科学の教科書によれば、11歳以上の猫ではCDSの診断前に、血圧測定、甲状腺ホルモン(T4)、腎機能値(BUN・クレアチニン・SDMA)、尿検査を基本として確認する必要があります。内科疾患を見逃してCDSのみで管理すると、症状がさらに悪化し、寿命が短くなる可能性があります。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Little SE, The Cat: Clinical Medicine and Management, 2nd Edition, Chapter: Behavior and Cognitive Dysfunction, 2020
[2] Gunn-Moore DA, Cognitive dysfunction in cats: clinical assessment and management, Top Companion Anim Med, 2011
[3] Landsberg GM et al., Cognitive Dysfunction Syndrome in the Senior Cat, Vet Clin North Am Small Anim Pract, 2010