肥満食は、理想体重基準のカロリーを20〜30%減らし、週あたり0.5〜1%ずつゆっくり減量していく段階的な食事管理です。処方食、運動、維持期の戦略まで、段階別に整理しました。

| 項目 | 4~5点(理想) | 6~7点(過体重) | 8~9点(肥満) |
|---|---|---|---|
| 肋骨の触診 | 容易に触れる | 脂肪層に覆われる | ほとんど触れない |
| 腰のくびれ | 明瞭 | 弱くなる | 消失 |
| 理想体重との比較 | 適正 | +10~20% | +20%以上 |
| 推奨する管理 | 維持給与 | 10~15%減量給与 | 処方食+獣医師相談 |
| 減量期間 | 該当なし | 2~3か月 | 4~6か月以上 |
BCSの9段階スケールはピュリナ(Purina)基準です

急激な減量は絶対に避けてください。
1ヶ月で体重の10%以上減ると危険です。特に猫は、短期間でも十分に食事がとれない状態が続くと、脂肪肝(Hepatic Lipidosis)を発症し、命の危険にさらされる可能性があります。インターネットで販売されている「ダイエット用フード」だけを信じて、与える量を半分にするのも危険です。必ず理想体重に基づいたカロリーを計算し、2週間ごとに体重を計測しながら減量速度を調整してください。1週間で1%以上減っている場合は、与える量を再び増やす必要があります。

猫の減量法は、犬とは異なります。
猫は決して空腹状態にしてはいけません。強制断食や1日1回の与え方は、脂肪肝のリスクを大幅に高めます。減量ペースも犬よりもさらに緩やかに、ゆっくりと進める必要があります。猫は本来、1日に数回に分けて少量ずつ食べる「頻回少量給餌」の動物なので、自動給餌器を使って1日4~5回に少量ずつ分けて与えるのが理想的です。また、猫は「フードパズル」を活用することで狩猟本能を刺激し、活動量を増やすことができます。犬とは異なり、無理に長時間の散歩をさせることはかえってストレスになる可能性があるため、室内での遊びを中心に活動量を増やすのが良いでしょう。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Burkholder WJ. Use of body condition scores in clinical assessment of the provision of optimal nutrition. J Am Vet Med Assoc 2000;217(5):650-4.
[2] Clinical Medicine of the Dog and Cat, 4th Ed, Chapter 26: Management of the Obese Dog or Cat
[3] Applied Veterinary Clinical Nutrition, 2nd Ed, Chapter 9: Nutritional Management of Body Weight
[4] The Veterinary Workbook of Small Animal Clinical Cases — New Puppy Wellness Examination (BCS 9-point system)