犬が飼い主をじっと見つめるアイコンタクトには、愛情や要求、緊張など、さまざまなサインが込められています。視線の長さや瞳孔の大きさ、周囲の行動を総合的に読み解くことで、犬の気持ちを正確に把握することができます。

| 項目 | 伴う行動 | 意味 |
|---|---|---|
| やわらかく自然な凝視 | しっぽを軽く振る、リラックスした表情 | 愛情・信頼 |
| じっと見つめて前足でトントン | 食器の近く・玄関の前 | 要求(ごはん・散歩) |
| 目を避けて顔をそむける | 舌をペロッ、あくび | 不快・ストレス |
| こわばった体でにらむ | しっぽが直立、うなる | 警告・攻撃の前兆 |
| 白目が見えるホエールアイ | 耳を後ろに、体を丸める | 極度の緊張・恐怖 |
視線は常に体全体のサインと一緒に解釈してこそ正確です。

このような視線の場合は、すぐに距離を置いてください。
体が硬直し、頭を下げて上目遣いでじっと睨みつける「硬直した視線(ハードスター)」は、攻撃の直前のサインである可能性があります。特に食事やオモチャの近くでこのような視線を向けられた場合は、資源保護攻撃に発展する恐れがあります。その際は、目を合わせず、ゆっくりと横に移動して犬の視界から離れるのが安全です。無理に目を合わせて叱ると、状況が悪化してしまう可能性があります。

視線の変化が病気のサインであることもあります
普段は活発だった愛犬が、突然目線を避けたり、虚空をぼんやりと見つめる時間が長くなったりする場合は、単なる気分の変化ではない可能性があります。行動や意識状態の変化、視力の低下は、目や神経系に異常があることが原因で起こることがあります。実際、白内障や網膜疾患、視神経の異常だけでなく、脳の病変も視力低下や行動変化を引き起こすことがあります。特に、ふらつき(運動失調)や発作などの神経症状が併発している場合は、獣医師による診察が必要です。高齢犬で急な行動変化が見られる場合は、犬の認知症の初期症状も併せてご確認ください。


タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Horowitz, A., Inside of a Dog: What Dogs See, Smell, and Know, Scribner, 2009
[2] Nagasawa M. et al., Oxytocin-gaze positive loop and the coevolution of human-dog bonds, Science, 2015
[3] Overall K.L., Manual of Clinical Behavioral Medicine for Dogs and Cats, Elsevier, 2013