犬の移行細胞癌は膀胱に発生する悪性腫瘍で、初期症状が不明瞭なため、飼い主さんが見落としがちです。早期の診断と治療が生存率を左右します。



すぐに動物病院を受診する必要があるサイン
犬が尿を出せなくなったり、排尿時に激しい痛みを示したり、血尿がひどくなったり、排尿頻度が急激に増える場合は、すぐに動物病院へ連れて行ってください。腫瘍が尿道を塞いで尿道閉塞を起こしている可能性があり、尿が正しく排出されない状態が続くと、腎臓の後ろに老廃物がたまる腎後性尿毒症につながる恐れがあります。特に尿を一切出せない場合は命に関わる緊急事態ですので、一刻も早く動物病院を受診することが不可欠です。



| 項目 | 適したステージ | 効果 | 副作用 |
|---|---|---|---|
| 手術 | 局所化した腫瘍 | 減量手術単独での生存期間中央値は約109日 | 排尿困難・血尿・尿道狭窄など |
| 化学療法(薬物療法) | 転移の可能性、再発時 | ピロキシカム単独で約18%の奏効率、クロラムブシルで生存期間中央値約221日 | 食欲不振・骨髄抑制など |
| 併用療法 | 転移リスクが高い場合 | ピロキシカム+抗がん剤で約35%の奏効率、手術+抗がん剤で580日生存した症例 | 骨髄抑制など薬物・手術による副作用の可能性 |
治療の選択は、がんのステージ、犬の健康状態、飼い主の状況に応じて、獣医師と相談の上で決定する必要があります。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Knott, C., Simpson, J.W., Tasker, S., et al. (2000). Transitional cell carcinoma of the urinary bladder in dogs: A retrospective study of 120 cases. Veterinary Surgery, 29(5), 421–428.
[2] Moore, A.S., Nelson, R.W., Henry, C.J., et al. (2002). Chemotherapy for transitional cell carcinoma in dogs: A retrospective study of 45 cases. Journal of Veterinary Internal Medicine, 16(3), 289–294.
[3] Withrow, S.J., Vail, D.M., & Page, R.L. (2017). Small Animal Clinical Oncology (5th ed.). Elsevier Saunders.