犬のクッシング症候群で最初に現れる「腹部の膨らみ」「多飲」「対称性の脱毛」といった兆候をまとめ、ACTH刺激検査で確定診断を行うべきタイミングを段階的に解説します。

| 項目 | 下垂体依存性(PDH) | 副腎腫瘍性(ADH) |
|---|---|---|
| 発生率 | 約85% | 約15% |
| 原因 | 下垂体の微小腫瘍 | 副腎自体の腫瘍 |
| 主な治療 | トリロスタンによる薬物治療 | 手術(副腎摘出) ± 薬物 |
| 両側性の副腎肥大 | あり | 片側のみ肥大(対側は萎縮) |
| 腹部超音波の違い | 左右の副腎がいずれも腫大 | 片側の副腎に腫瘤 |
獣医内科学の教科書に基づいており、正確な鑑別は画像検査とホルモン検査を併せて判断します。

この兆候が見られたら、24時間以内に動物病院へお越しください。
クッシング症候群そのものは緊急性は高くありませんが、合併症を併発すると緊急事態に発展する可能性があります。① 突然の散歩拒否や呼吸困難、② 腹部の急激な膨張や食欲の消失、③ 意識の混濁や震えが見られる場合は、一刻も早く動物病院や救急外来を受診してください。慢性的なコルチゾールの過剰状態は、左心室肥大や心筋線維化などの心血管系への負担をはじめ、さまざまな合併症を引き起こす可能性があるため、普段と異なる急激な変化が見られた場合は、早めに診察を受けるのが安全です。

トリロスタンの副作用——これらの兆候が見られたら直ちに投与を中止してください
トリロスタンは多くの犬でよく耐えられますが、まれに副腎皮質機能低下症(アジソン危機)へと進行することがあります。①急な食欲低下と嘔吐、②無気力や震え、③24時間以上続く下痢が見られる場合は、投薬を中止し、直ちに病院にご連絡ください。定期的なACTH刺激検査で副腎機能をモニタリングすることが重要ですが、検査数値が実際の症状と必ずしも一致するわけではありません。そのため、ご自宅で観察された症状も必ず獣医師にお知らせいただくのが安全です。


タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Warman S., 100 Top Consultations in Small Animal General Practice — Ch.74 The dog with hyperadrenocorticism
[2] BSAVA Manual of Canine and Feline Dermatology, 4th Ed — Endocrine alopecia / Trilostane therapy
[3] Clinical Medicine of the Dog and Cat, 4th Ed — Hyperadrenocorticism (Cushing's syndrome)
[4] Perez-Alenza MD., Trilostane dosing recommendations in canine hyperadrenocorticism, 2017