犬の肝機能数値は、ALTとALPを中心に解釈します。正常範囲、数値上昇時の意味、再検査のタイミングなど、飼い主さんが必ず知っておくべきポイントをまとめました。

| 項目 | 正常範囲 | 参考 |
|---|---|---|
| ALT(アラニンアミノ基転移酵素) | 14〜151 U/L | 肝細胞損傷の指標 |
| ALP(アルカリホスファターゼ) | 13〜289 U/L | 胆管・ステロイド・成長期の影響 |
| AST(アスパラギン酸アミノ基転移酵素) | 品種・検査室の基準 | 肝臓・筋肉・溶血の影響 |
| GGT(γ-グルタミルトランスフェラーゼ) | 品種・検査室の基準 | 胆管損傷に敏感 |
| アルブミン(Albumin) | 2.6〜4.0 g/dL | 肝臓の合成能の指標 |
獣医薬理学の教科書(Marshfield Clinic Veterinary Diagnostic Service 基準)。検査室ごとに正常範囲が少しずつ異なるため、結果票に併記された基準値をまず確認してください。

このような数値の場合は、すぐに動物病院へお越しください。
数値の上昇に伴い臨床症状が併発する場合は、その程度に関わらず緊急です。 - ALTが正常値の上限の5倍以上に上昇している場合(活動性の肝細胞損傷の可能性が高いです) - ALPが大きく上昇し、同時に黄疸や食欲不振などの症状が併発している場合(ALPはステロイドの影響などにより、症状がなくても大きく上昇することがあるため、単独の数値だけで緊急と断定しません) - 黄疸(歯ぐきや白目が黄色くなる) - 急な食欲不振・嘔吐・下痢が24時間以上続く - 腹部膨満・気力の低下・痙攣 - アルブミンが正常値以下に低下している場合(肝臓の合成能力低下のサインです) 特に黄疸とアルブミンの低下が同時に見られる場合、肝機能がすでにかなり低下している可能性があります。数値の大きさと同様に、臨床症状の併発有無が緊急判断の核心です。

犬種別の肝機能数値に関する注意点
特定の犬種では、生涯にわたって肝機能の数値をモニタリングする必要があります。 - ベドリングテン・テリア、ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア、ドーベルマン: 遺伝性銅蓄積性肝疾患の発症リスクが高い - ヨークシャー・テリア、マルチーズ: 門脈体循環短絡症(門脈短絡症)の発症リスクが高い — 幼少期にアルブミン値の低下や発育不良を伴って確認される - コッカー・スパニエル: 慢性肝炎の発症リスクが高い - 老齢の小型犬: 胆泥症や胆管炎の頻度が増加する これらの犬種では、1年に1〜2回の定期的な血液検査で経過を追うことをお勧めします。


タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Plumb's Veterinary Drug Handbook, 10th Edition — Chemistry: Companion/Small Animal Species Reference Values
[2] Fundamentals of Veterinary Clinical Pathology, 3rd Edition — Chapter 12 Enzymes
[3] Clinical Medicine of the Dog and Cat, 4th Edition — Hepatobiliary Disease Diagnostic Approach