猫の高カルシウム血症は、血液中のカルシウム値が上昇する疾患です。本記事では、原因、症状、治療法について、保護者の皆様にご理解いただくための重要な情報をまとめました。



すぐに動物病院を受診する必要がある場合
猫が重度のショック状態、激しい嘔吐や下痢、あるいは尿を全く出せない場合は、緊急事態です。これは腎機能が急激に低下している、あるいは不整脈などの心臓のリズム異常が生じている兆候である可能性があります。直ちに獣医師に相談し、血液検査と超音波検査を受ける必要があります。カルシウム値が非常に高い場合は、輸液療法や薬物によって速やかに低下させる必要があり、対応が遅れるほど臓器損傷のリスクが高まります。



| 項目 | 段階 | カルシウム値 | 主な症状 | 対処法 |
|---|---|---|---|---|
| 軽症 | 軽症 | 総カルシウム 11.0–12.0 mg/dL | 無症状または軽度の食欲低下 | 定期健診、食事管理 |
| 中等度 | 中等度 | 総カルシウム 12.1–13.5 mg/dL | 多尿、嘔吐、無気力 | 輸液治療、原因の精査 |
| 重度 | 重度 | 総カルシウム 13.6 mg/dL以上 | 重度の衰弱・ショック、排尿障害、心リズム異常 | 緊急治療、薬物調整 |
表のカルシウム値は総カルシウム(total calcium)を基準としています。猫の高カルシウム血症は総カルシウム11 mg/dLまたはイオン化カルシウム1.4 mmol/L(5.6 mg/dL)を超える場合と定義され、上記の段階区分は参考用です。最終的な重症度の判断と診断は、イオン化カルシウムの測定と獣医師の診察に従ってください。
注意すべき点:サプリメントの過剰摂取に注意
カルシウムサプリメントやリン酸塩結合剤を自己判断で与えるケースがありますが、これらはカルシウム値をさらに上昇させる可能性があります。特に腎機能が低下している猫には非常に危険です。サプリメントは、獣医師が体重や検査結果に基づいて処方するべきものです。過剰摂取は腎臓障害や心臓疾患を引き起こす恐れがあるため、決して安易に与えないでください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Chew DJ, Leonard M, Muir W. Effect of sodium bicarbonate infusions on ionized calcium and total calcium concentrations in serum of clinically normal cats. Am J Vet Res. 1989;50(1):145–150.
[2] Taylor SS, Sparkes AH, Briscoe K, et al. ISFM consensus guidelines on the diagnosis and management of hypertension in cats. J Feline Med Surg. 2017;19(3):28.
[3] Feline Emergency and Critical Care Medicine, 2nd Ed. Elsevier, 2017. Chapter 32: Hypercalcemia in Cats.