猫の腫瘍が見つかった際に、まず最初に受ける「細針吸引細胞診(FNA)」の検査手順、費用の目安、精度と限界を、飼い主さんの視点でわかりやすくまとめました。検査前の準備から結果の解釈、さらに追加の組織生検が必要なケースまで、ここで一度に確認しましょう。

| 項目 | 穿刺吸引検査(FNA) | 針生検(Core biopsy) | 切除生検(Excisional) |
|---|---|---|---|
| 採取量 | 細胞単位(少量) | 組織の一部(コア) | 腫瘤全体 |
| 麻酔の有無 | 通常は鎮静なし | 鎮静または局所麻酔 | 全身麻酔が必須 |
| 所要時間 | 5~15分 | 15~30分 | 30分~数時間 |
| 診断の正確度 | 報告により約80~89% | 穿刺吸引より概ね高い | 最も高い(腫瘤全体を評価) |
| 費用負担 | 低い | 中程度 | 最も高い |
| 主な用途 | 一次スクリーニング | リンパ腫以外の腫瘍の確定診断 | 治療を兼ねた確定診断 |
正確度は腫瘍の種類・部位・炎症の程度によって変わります。肝臓・脾臓腫瘍の穿刺吸引による診断率は14~33%と低いという報告もあります(Wangほか、2004年)。

検査前に必ず確認しておきたいポイント
細針吸引生検は比較的安全な検査ですが、出血傾向がある場合や血小板数が低い猫では、処置後に出血や血腫のリスクがあります。検査前に基本的な血液検査と凝固時間(BMBTまたはPT/aPTT)を確認しておくと安全です。また、胸腔内の腫瘍では気胸、脾臓の腫瘍では腹腔内出血の可能性があり、処置後30~60分間の観察が必要です。妊娠中や極度の興奮状態にある猫は、鎮静後に実施するのが安全です。

結果の解釈に関する注意点
細針吸引細胞診の結果に「陰性」や「炎症性変化」と記載されていても、腫瘍を100%排除できるわけではありません。腫瘍塊の中に正常な組織が混在している場合や、採取部位が腫瘍の中心部ではない可能性があるためです。したがって、臨床的に腫瘍の疑いが高いにもかかわらず結果が不明確な場合は、2~4週間後に再検査を行うか、生検(生検針による生検や切除生検)を進める必要があります。また、結果書に記載される「consistent with(~と一致する)」は確定診断を意味するものではなく、「可能性が高い」という表現であることを覚えておいてください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Raskin RE, Meyer DJ. Canine and Feline Cytology: A Color Atlas and Interpretation Guide, 3rd Edition. Elsevier, 2016
[2] Valenciano AC, Cowell RL. Small Animal Cytologic Diagnosis: Canine and Feline Disease, 2nd Edition
[3] Kudnig ST, Séguin B. Veterinary Surgical Oncology, 2nd Edition. Wiley-Blackwell
[4] Wang KY et al., Accuracy of ultrasound-guided fine-needle aspiration of the liver and cytologic findings in dogs and cats: 97 cases (1990-2000). JAVMA, 2004
[5] Jasik A et al., BSAVA Manual of Canine and Feline Dermatology, 4th Edition (Chapter 34: Neoplastic and paraneoplastic syndromes affecting the skin)