猫の肝機能値(ALT・ALP・GGT・ビリルビン)の正常範囲と、数値が上昇した際に示す意味を一度にまとめました。脂肪肝や胆管炎が疑われるパターンも含め、飼い主様ご自身で読み解けるようわかりやすく解説します。

| 項目 | 正常範囲(参考値) | 軽度の上昇 | 重度の上昇 |
|---|---|---|---|
| ALT(U/L) | 約20〜145 | 参考値の上限をやや超える | 参考値より数倍以上、著しく上昇 |
| ALP(U/L) | 約8〜115 | 参考値の上限〜2倍未満 | 2倍以上〜10倍以上まであり得る |
| GGT(U/L) | 約0〜5 | 参考値の上限をやや超える | 参考値より著しく上昇 |
| 総ビリルビン(mg/dL) | 約0.1〜0.5 | 0.5〜約1.0 | 約1.0以上(黄疸を伴うことがある) |
検査機関ごとに参考範囲が異なるため、数値は必ず検査票に表示された当該病院の基準値と比較して見る必要があります。猫のALPは胆汁うっ滞に対する感度が低く、重い疾患でも正常か、わずかにしか上がらないことがありますが、いったん上がると参考値の2倍未満から10倍以上まで幅広く上昇することがあります。軽度・重度の区分は固定した絶対値ではなく、『参考値の上限に対してどれだけ上がったか』で見るほうが正確です。

このような数値であれば、すぐに動物病院を受診する必要があります。
次のいずれかにも該当する場合は、緊急性が高い可能性があります。できるだけ早く(24時間以内)に動物病院を受診してください。 - 白目や歯ぐきが黄色くなる黄疸(通常、ビリルビン値が正常値の2〜3倍以上、約1.5 mg/dLを超えると目に見えるようになります) - 肝機能値(ALT・ALP・ビリルビンなど)が病院の参考範囲よりも著しく上昇している - 肝機能値の上昇とともに、食欲不振が数日以上続いている - 嘔吐・下痢・体重減少を伴う - 元気がない、またはほとんど動かないといった全身症状を伴う 特に黄疸はそれ自体が緊急のサインですので、色の変化が疑われる場合は数値を確認する前に、すぐに動物病院へ連れていくのが安全です。


タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Little SE, The Cat: Clinical Medicine and Management, 2nd Edition, Chapter on Approach to the Cat with Increased Liver Enzyme Activities
[2] Stockham SL, Scott MA, Fundamentals of Veterinary Clinical Pathology, 3rd Edition, Chapter 12: Liver Function
[3] Robinson NJ et al., 100 Top Consultations in Small Animal General Practice, Chapter 8: Increased Liver Enzymes