犬は、引越しや環境の変化時に心理的・身体的なストレス反応を示すことがあります。症状の早期発見と環境の安定化が、管理の重要なポイントです。


すぐに動物病院を受診すべきサイン
以下の症状が一つでも見られる場合は、ストレス以外の疾患が隠れている可能性があります。48時間以上何も食べない、嘔吐や下痢が繰り返される、発作やけいれんを起こす、皮膚が擦り切れるほど自傷行為を繰り返すといった場合は、すぐに動物病院を受診してください。一見行動問題のように見えても、内科的な痛みが原因であるケースがあります。


特に注意が必要な犬たち——脆弱な品種・個体
分離不安の既往歴がある場合や、保護犬として里親家庭へ迎えられた子は、環境の変化に対してより敏感になりやすい傾向があります。一方で、特定の犬種や性別がストレスや分離関連の問題に対して特に脆弱であるという点については、現在も学界で一致した結論は出ておりません。そのため、犬種だけで一概に判断するのではなく、個々の犬の気質や過去の経験を総合的に考慮して評価することが重要です。引越し前に段ボール箱を家中に置き、事前に匂いを覚えさせたり、可能であれば新しい住まいを事前に訪れて探索させたりする「事前慣れ」の取り組みが、スムーズな適応を促すのに役立つことがあります。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Introduction to Animal Behavior and Veterinary Behavioral Medicine, Chapter 15: Separation-Related Disorders in Dogs. Wiley-Blackwell, 2024.
[2] The Dog Care Handbook: Things I Wish My Vet Had Told Me. CABI Publishing, 2024.
[3] Anderson, K.H., Yao, Y., Perry, P.J. et al. (2022). Case distribution, sources, and breeds of dogs presenting to a veterinary behavior clinic in the United States from 1997 to 2017. Animals 12(5): 576.