猫の泌尿器ケア用療法食として代表的なヒルズ c/d マルチケアとロイヤルカナン・ユリナリーSOを、成分・作用機序・嗜好性・価格の観点から比較します。結石の種類別の適応や、切り替え時の与え方についてもまとめて解説しています。

| 項目 | ヒルズ c/d Multicare | ロイヤルカナン Urinary SO |
|---|---|---|
| 主なターゲット結石 | ストルバイト(溶解+予防) | ストルバイト(溶解+予防) |
| シュウ酸カルシウム対応 | 一部対応、別ラインの検討 | 形成抑制(予防)を掲げる — 食事による溶解は不可 |
| マグネシウム制限 | True | True |
| 塩分(ナトリウム)戦略 | 中程度の制限 | 意図的な引き上げ(飲水量↑) |
| 目標尿pH | 酸性化(おおよそpH5.5~6.5、<6.5) | 酸性化(おおよそpH5.5~6.5、<6.5) |
| オメガ3強化 | True | True |
| ストレス/特発性膀胱炎ライン | c/d Multicare Stress | Urinary SO + Calm |
| 嗜好性評価(個体差が大きい) | 普通 | 優秀 |
| 価格帯(2kgドライフード基準) | 約3.5~4,000円 | 約3.0~4,000円 |
2026年5月の市場価格の推定値です。実際の価格は店舗・割引・時期によって異なります。目標pHはストルバイトの溶解・予防のための酸性化区間(教科書基準でpH5.5~6.5、予防時は<6.5)を意味します。療法食は動物病院または獣医師の処方チャネルで購入することをおすすめします。


結石の種類を確認せずに自己判断での処方は絶対に禁止です。
泌尿器科用の療法食は、結石の種類によって作用が正反対になります。ストルバイト結石は酸性の尿で溶けますが、シュウ酸カルシウム結石は酸性環境ではむしろできやすくなります。レントゲンやエコーなどの画像検査、そして尿検査で結晶や結石の種類を確認せずに療法食を開始すると、一方の問題は解決しても、もう一方が悪化する可能性があります。必ず獣医師の診断後に製品を選び、4~8週間ごとに尿検査で効果を再確認しましょう。

処方開始後に必ず行うべきモニタリング
処方食を開始したからといって、それで終わりではありません。4~8週間ごとに尿検査を行い、結晶や結石が減少しているか、尿のpH値が目標範囲内に入ったかを確認する必要があります。日頃の記録: 体重の変化、食欲、排尿回数、血尿の有無などをメモしておくと、次の診察時に大変役立ちます。6ヶ月以上安定している場合は、獣医師と相談して、維持用フード(例:c/d マルチケア メンテナンス)や一般的な泌尿器ケア用フードへの段階的な切り替えを検討することができます。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Ettinger SJ et al., Textbook of Veterinary Internal Medicine, 8th Edition — Feline Lower Urinary Tract Diseases
[2] Little SE, The Cat: Clinical Medicine and Management, 2nd Edition — Urinary System
[3] Hand MS et al., Small Animal Clinical Nutrition, 5th Edition — Feline Urolithiasis and Lower Urinary Tract Disease