手術や重症疾患の回復期にある犬・猫のために、代表的な3種類の処方食を、タンパク質・脂肪・カロリー密度と使用状況別に比較しました。どのような状況にどの製品が適しているのか、一目でわかるようにまとめました。

| 項目 | Hill's a/d(缶) | Royal Canin Recovery(缶) | Royal Canin Recovery Liquid(液状) |
|---|---|---|---|
| タンパク質(g/1000kcal) | 91 | 97 | 91 |
| 脂肪(g/1000kcal) | 68 | 63 | 57 |
| 炭水化物(g/1000kcal) | 29 | 11 | 57 |
| 熱量密度 | 1352 kcal/kg | 1039 kcal/kg | 約0.9 kcal/mL |
| 剤形 | ペースト状の缶 | ムース状の缶 | 液状(チューブ給与可能) |
| 主な使用状況 | 自力摂取・シリンジ給与 | 自力摂取・シリンジ給与 | 経鼻胃管・食道瘻チューブ給与 |
| 適用種 | 犬・猫 | 犬・猫 | 犬・猫 |
数値は獣医内科学の教科書・メーカー資料に基づいており、液状製品は缶より熱量密度が低く炭水化物の比率が高めです。製品のリニューアルによって変わる場合があるので、使用前に最新の製品仕様をご確認ください。


回復期の処方食を使用する際に必ず守るべきポイント
回復期の療法食は一般的なペットフードではなく、獣医師の処方に基づいて使用する臨床栄養ツールです。自己判断で長期間与えると栄養バランスの崩れを招く可能性があります。膵炎、腎不全、肝不全などの基礎疾患がある場合、一般的な回復期フードがかえって負担になることがあるため、腎臓や肝臓用の療法食と区別して選ぶ必要があります。また、高脂肪の療法食は膵炎の既往歴がある患者では再発のリスクがあるため注意が必要です。

このような場合は、すぐに病院にご連絡ください。
回復期の処方食を与えている際、次のような兆候が見られたら、すぐに病院にご連絡ください。24時間以上、推奨量の50%未満しか食べていない場合、嘔吐や下痢が繰り返される場合、チューブ給餌後に呼吸異常や咳を伴う場合、そして体重が急激に減少する場合です。回復期の栄養管理では「どれだけ正確に摂取できているか」が最も重要ですので、飼い主さんがご自身で判断して与える量や間隔を変更されないようご注意ください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Schaer M, Gaschen F, eds. Clinical Medicine of the Dog and Cat, 4th Ed. CRC Press, 2017. Chapter 25 (Nutritional Support of the Critical Patient)
[2] Fascetti AJ, Delaney SJ. Applied Veterinary Clinical Nutrition, 2nd Ed. Wiley-Blackwell, 2024. Chapter 8 (Commercial and Home-Prepared Diets)