キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは、5歳頃から心雑音が現れ始め、10歳以上ではほとんどの個体で進行する僧帽弁閉鎖不全症(MVD)の好発犬種です。進行段階ごとの症状・診断・治療法や、毎日の呼吸数チェックなどの飼い主様向け管理ポイントをまとめました。

| 項目 | 心雑音 | 心臓の拡大 | 主な症状 | 治療開始 |
|---|---|---|---|---|
| ステージA | なし | 正常 | なし(リスク犬種) | 観察のみ |
| ステージB1 | あり(軽度〜中等度) | 正常な大きさ | なし | 定期的な経過観察 |
| ステージB2 | 中等度〜重度 | 拡大の始まり | なし(飼い主が気づきにくい) | ピモベンダン開始 |
| ステージC | 重度 | 拡大 | 咳・呼吸困難・運動不耐性 | ピモベンダン+利尿薬+ACE阻害薬 |
| ステージD | 重度 | 著しい拡大 | 標準治療に反応なし | 高用量の多剤併用 |
ACVIM 2019合意ガイドライン基準 — B2診断後にピモベンダンを開始すると心不全発症までの期間を約15か月延長するというEPIC研究の結果があります。
このような兆候が見られたら、夜間でも応急処置室へ
以下の症状が一つでも見られたら、夜間や週末でも必ず救急病院へお越しください。肺水腫は数時間で命を脅かす可能性があります。 - 安静時の呼吸数が1分間に40回以上 - 歯ぐきや舌が青ざめたり、灰色に変わったりする - 休んでいても止まらない乾いた咳 - 突然の失神や後ろ足への脱力 - 普段より呼吸数が2倍以上速くなる 24時間対応の動物救急病院の場所を、事前にスマートフォンに保存しておきましょう。


心臓が弱かったり心臓病にかかりやすいキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの日常ケア
心臓が弱めのキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルのための日常管理のポイントです。 - 真夏の12時~16時の散歩は避けてください(体温上昇は心臓に負担をかけます) - 短時間・頻繁な散歩がおすすめです(1回30分よりも、15分を2回に分けることを推奨します) - 低塩食や心臓病用療法食の検討(必ず獣医師にご相談ください) - 定期健診の頻度:健康な場合は1年に1回、心雑音B1度以上は6ヶ月に1回、B2度以上は3ヶ月に1回 - 麻酔や歯科治療を行う際は、必ず心臓の評価を行った上で実施してください - 興奮や吠え声がちな環境はできるだけ避け、胸部に圧迫がかかるハーネスよりも、軽量なX字型ハーネスや胸輪を使用するのが望ましいです。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Sharpe AN, Visser LC. Canine Myxomatous Mitral Valve Disease. In: Small Animal Critical Care Medicine, 3rd Ed.
[2] Stern JA, Walker AL. Pimobendan. In: Small Animal Critical Care Medicine, 3rd Ed.
[3] Ljungvall I, Häggström J. Myxomatous Valvular Disease. In: Textbook of Cardiovascular Medicine in Dogs and Cats.
[4] Keene BW et al. ACVIM consensus guidelines for the diagnosis and treatment of myxomatous mitral valve disease in dogs. J Vet Intern Med, 2019.
[5] Boswood A et al. Effect of Pimobendan in Dogs with Preclinical Myxomatous Mitral Valve Disease and Cardiomegaly: The EPIC Study. J Vet Intern Med, 2016.