老犬の視力低下は、老化に伴って徐々に進んでいく変化です。家具の配置を維持し、声による合図を使い、安全な散歩のコツを実践することで、愛犬が快適に適応できるようサポートできます。

| 項目 | 核硬化症 | 白内障 | 進行性網膜萎縮 |
|---|---|---|---|
| 目の色 | 青みがかった・灰色がかった | 白く濁る | 見た目は正常 |
| 視力への影響 | ほとんどなし | 中等度~失明 | 進行性の視力低下および失明 |
| 進行速度 | 非常に遅い | 数日~数年(糖尿病性などは急に現れることもあります) | 数か月~数年 |
| 治療の可否 | 治療は不要 | 手術で回復可能 | 治療不可、管理のみ |
肉眼では見分けが難しいので、正確な診断は眼科の検査が必要です。

このような場合は、すぐに動物病院を受診してください。
急な視力の変化は、単なる老化によるものではない可能性があります。急性緑内障、網膜剥離、高血圧性網膜症は、早い場合では数時間から数日のうちに回復不可能な失明にまで進行することがあります。1~2日の間に急に壁にぶつかるようになったり、目が赤く充血して痛みを示したり、左右の瞳孔の大きさに差が出たりした場合は、直ちに動物病院の救急外来を受診してください。糖尿病の犬で、目が急激に白濁してくる場合も糖尿病性白内障の急性期である可能性があり、迅速な手術適応の評価が必要です。白内障はこのような形で突然現れることもありますので、普段と違う変化が見られたら先送りにせず、眼科検査を受けるのが安全です。


認知症が併発すると、より細やかなケアが必要です。
老犬の視力低下は、認知機能障害症候群(CDS)と併発することがよくあります。CDSは高齢犬で珍しくなく、年齢が高いほど発症頻度が高まる傾向があります。視力が低下すると、夜間にうろついたり、隅にこもったりする行動が顕著になることがあります。夜間の徘徊、昼夜逆転、飼い主を認識できないなどの行動が見られる場合は、眼科検診とともに神経・行動面の評価も併せて受けることをお勧めします。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Ettinger SJ, Feldman EC, Côté E. Textbook of Veterinary Internal Medicine: Diseases of the Dog and the Cat. 8th ed. Elsevier; 2017.
[2] Maggs DJ, Miller PE, Ofri R. Slatter's Fundamentals of Veterinary Ophthalmology. 6th ed. Elsevier; 2018.
[3] Landsberg GM, Nichol J, Araujo JA. Cognitive dysfunction syndrome: a disease of canine and feline brain aging. Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2012;42(4):749-68.
[4] Côté E. Clinical Veterinary Advisor: Dogs and Cats. 3rd ed. Elsevier Mosby; 2015.