シニア犬の食事変更は、年齢だけで決めるものではありません。体重、歯の状態、疾患の有無に合わせて段階的に切り替えることで、消化器への負担を軽減できます。

| 項目 | 小型犬(~10kg) | 中型犬(10~25kg) | 大型犬(25kg以上) |
|---|---|---|---|
| 高齢期の始まり | 約7歳~ | 約7歳~ | 約5歳~ |
| 食事の再評価の周期 | 6か月 | 6か月 | 3~4か月 |
| 推奨される獣医師の健診 | 年1回 | 年1~2回 | 年2回 |
Applied Veterinary Clinical Nutrition 2nd Ed / Small Animal Critical Care Medicine 3rd Ed 基準(大型・超大型犬は約5歳、中・小型犬は約7歳以上から高齢)。個体差が大きいため参考用です

シニア用フードに無条件に切り替えてはいけない場合
老犬が痩せてきている場合、一般的なシニア用ドッグフードはかえって害になる可能性があります。多くのシニア用ドッグフードは「肥満防止」を目的として、低カロリー・低脂肪に設計されているためです。高齢期でも十分な体重と筋肉量を維持している子であれば、現在の成犬用ドッグフードを継続するか、高タンパクなシニア用ドッグフードを選ぶべきです。獣医栄養学の教科書では、「年齢だけで食事を変更するのは適切ではない」と明記されています。

疾患がある場合は、「処方食」が優先となります。
腎臓病、心臓病、糖尿病、関節炎、認知症と診断された老犬には、一般的なシニアフードではなく、獣医師の処方食を使用する必要があります。例えば、慢性腎臓病には腎臓機能への負担を軽減するための専用処方食、心臓病には心臓機能をサポートする処方食が必要です。処方食の具体的な栄養組成や与える量は、血液検査の結果、疾患の段階、体重によって異なりますので、必ず獣医師が個々の状態に合わせて決定し、用量や与える間隔についても指導を受けてください。


タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Applied Veterinary Clinical Nutrition, 2nd Edition, Chapter on Feeding the Senior Dog
[2] Nutrient Requirements of Dogs and Cats, National Research Council
[3] Laflamme D.P., Nutrition for Aging Cats and Dogs and the Importance of Body Condition, 2005
[4] Introduction to Animal Behavior and Veterinary Behavioral Medicine, Chapter on Cognitive Dysfunction