ピモベンダン(ベトメジン)は、犬の僧帽弁閉鎖不全症(MVD)の治療における第一選択薬です。作用機序、投与時期、副作用、そして飼い主さんが知っておくべき管理のポイントについてまとめました。


| 項目 | B1ステージ | B2ステージ | Cステージ(CHF) |
|---|---|---|---|
| 心臓の大きさ | 正常範囲 | 拡大した状態 | 大きく拡大し症状が発現 |
| 症状 | なし | なし(無症状) | 咳、呼吸困難、失神 |
| ピモベンダン投与 | False | True | True |
| 期待される効果 | 該当なし | 心不全発症の遅延 | 生存期間の延長 |
B2ステージからの早期投与が、EPIC研究で実証された標準治療です。
ピモベンダンを投与する前に必ず確認すべきこと
ピモベンダンは、心エコー検査でB2期と確認された後に処方されるお薬です。単に心雑音が聞こえるからといって、すぐに使用するものではありません。肥大型心筋症(HCM)や一部の流出路閉塞性疾患では、むしろ有害になる可能性があります。必ず獣医師による心エコー検査の結果に基づいて、投与の可否が判断されます。

併用薬と緊急時の兆候に注意
ピモベンダンは、主に利尿薬(フロセミド)、ACE阻害薬(エナラプリル)、スピロノラクトンと併用して処方されます。この組み合わせは一般的に「心臓4剤療法」と呼ばれています。自宅で愛犬が安静時でも呼吸数が1分間に40回以上持続したり、舌が青紫色に変色したり、突然倒れたりした場合は、直ちに救急病院へお越しください。これらは急性肺水腫の兆候である可能性があります。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Häggström J, Boswood A, et al., Effect of Pimobendan on Survival in Dogs with Preclinical MMVD (EPIC Trial), J Vet Intern Med, 2016
[2] Ljungvall I, Häggström J, Myxomatous Valvular Disease, Textbook of Cardiovascular Medicine in Dogs and Cats
[3] Stern JA, Walker AL, Pimobendan, Small Animal Critical Care Medicine, 3rd Ed