犬の組織検査は、検査の種類によって費用が5,000円〜80,000円と大きく異なり、正確度や麻酔の負担にも大きな違いがあります。腫瘍の位置・大きさ・悪性の疑い度に応じて、FNA(細針吸引細胞診)から切除生検まで段階的に選択する方法をご紹介します。

| 項目 | 穿刺吸引(FNA) | 針生検(Core) | 切開生検 | 切除生検 |
|---|---|---|---|---|
| 費用の区間 | 5,000円〜10,000円 | 10,000円〜30,000円 | 30,000円〜50,000円 | 40,000円〜80,000円 |
| 麻酔の負担 | 不要 | 鎮静 | 全身麻酔 | 全身麻酔 |
| 診断精度 | 部位・腫瘍によりばらつきが大きい(表在性は高く、肝臓・脾臓は低い) | 組織が採取できれば病理組織で確定診断 | 病理組織で確定診断 | 病理組織で確定診断 |
| 等級判定が可能 | False | True | True | True |
| 当日施行 | True | True | False | False |
| 推奨される状況 | リンパ節・表在性腫瘤の一次検査 | 深部腫瘤・肝臓・脾臓 | 大きな腫瘤の部分採取 | 小さな腫瘤の診断+治療を同時に |
2026年5月時点の国内動物病院の平均を基準としており、病理依頼費(5,000円〜10,000円)と免疫染色(10,000円〜20,000円)は別途です。精度は腫瘍の種類・位置・炎症の程度によって異なり、確定診断と等級判定は組織病理検査で確認します。

組織検査の前に必ず確認すべきリスク要因
生検は比較的安全ですが、麻酔、出血、感染症のリスクがあります。特に脾臓や肝臓などの内部臓器の生検では出血リスクが高いため、入院観察が必要な場合があります。高齢犬や心臓・腎臓疾患がある場合は、麻酔前に血液検査や心エコーを先行して実施することが安全です。マスト細胞腫が疑われる場合は、操作中にヒスタミンが放出されてショックを起こす可能性があるため、事前に抗ヒスタミン剤を投与します。検査前の12時間の絶食と8時間の絶水は基本原則です。

良性・悪性の判定後の次のステップ
良性と診断されても、腫瘍の位置や大きさによっては切除手術を行うことがあります。悪性の場合は、胸部X線、腹部エコー、CTなどの画像検査で転移の有無を確認し、抗がん剤治療、放射線治療、再手術の中から適切な治療法を選択します。リンパ腫、マスト細胞腫、骨肉腫のように進行の速い腫瘍では、診断結果を確認してから1〜2週間以内に治療を開始することが、予後を良好にするために重要です。診断書のコピーは必ず保管し、診断が不明確な場合や治療方針で迷った際には、他の病院の意見を聞くセカンドオピニオンも積極的に検討してみてください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Withrow & MacEwen's Small Animal Clinical Oncology, 6th Edition — Chapter on Diagnostic Cytology and Biopsy
[2] BSAVA Manual of Canine and Feline Oncology, 3rd Edition — Tissue Sampling Techniques
[3] Small Animal Cytologic Diagnosis Canine and Feline Disease, 2nd Edition — FNA vs Histopathology Concordance Studies
[4] BSAVA Manual of Canine and Feline Dermatology, 4th Edition — Cutaneous Mass Sampling