犬のクッシング症候群は生涯にわたる薬物管理が必要な内分泌疾患ですので、トリロスタンの薬代と定期検査費を合わせた年間コストを事前に計算しておくことが重要です。

| 項目 | 1日用量(0.5~1mg/kg, q12h) | 月間の薬代の推定 |
|---|---|---|
| 小型犬(5kg) | 2.5~5mg × 2回 | 約6,000円〜10,000円 |
| 中型犬(10kg) | 5~10mg × 2回 | 約10,000円〜20,000円 |
| 中大型犬(20kg) | 10~20mg × 2回 | 約10,000円〜20,000円 |
| 大型犬(30kg+) | 15~30mg × 2回 | 約20,000円〜30,000円 |
動物病院・薬局・国内で流通するカプセルの規格によって差が大きいです。処方を受ける前に必ず見積もりを確認してください。

投与開始後は、モニタリング検査を絶対に受け忘れないでください。
トリロスタンは副腎ホルモン(コルチゾールなど)の合成を直接抑制するお薬ですので、投与量が多すぎると副腎皮質機能低下症(アジソン危機)を引き起こす可能性があります。教科書の基準では、投与開始後10〜15日目、1ヶ月、3ヶ月、そしてその後は3〜6ヶ月ごとにACTH刺激検査を行い、刺激後2〜4時間のコルチゾール値を確認しながら用量を調整する必要があります。1回の検査費用は15,000円〜25,000円ほどかかりますが、検査を怠ると緊急入院費用がはるかに高額になる可能性があるため、モニタリングのスケジュールは決して飛ばさないでください。

このような費用項目は別途発生する可能性があります。
基本的な薬代や検査費に加え、副腎腫瘍が大きい場合は副腎切除術(アドレナレクトミー)が推奨されることがあり、手術費用は290,000円〜570,000円程度です。さらに、多飲多尿(PU/PD)、皮膚感染症、高血圧などの合併症の治療費が追加されます。糖尿病を併発している場合は、インスリンの費用として月5,000円〜10,000円が追加でかかります。診断直後には、飼い主さんに「想定外の追加費用項目」を一度に説明してもらうのがおすすめです。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] BSAVA Manual of Canine and Feline Dermatology, 4th Ed — Hyperadrenocorticism chapter
[2] 100 Top Consultations in Small Animal General Practice — The dog with hyperadrenocorticism (Sheena Warman)
[3] Clinical Medicine of the Dog and Cat, 4th Ed — Trilostane Therapy
[4] Perez-Alenza et al., Trilostane dosing recommendations, 2017