猫に犬用ピレスロイド(ペルメトリン)製剤のマダニ駆除薬を誤って塗布した場合の中毒症状、家庭での応急処置、動物病院での治療、そして予後をまとめて解説します。


すぐに動物病院を受診すべきサイン
次の症状のいずれかが見られた場合は、一刻も早く動物病院の救急外来を受診してください。発作が長時間続いたり繰り返したりすると、横紋筋融解症や播種性血管内凝固症候群(DIC)などの合併症を引き起こし、予後が悪化する可能性があります。 - 全身性のけいれんが1分以上続く、または繰り返す - 意識がもうろうとしている、または呼びかけに反応しない - 体温が著しく低下している(低体温)、あるいは逆に高熱がある - 呼吸が非常に荒い、またはチアノーゼ(皮膚や粘膜の青紫色化)が見られる - 薬を塗布してから数十分から24時間の間に震えが始まった

| 項目 | 犬への使用 | 猫への使用 |
|---|---|---|
| ペルメトリン(Permethrin) | 安全 | 絶対禁止(致命的な神経毒性) |
| ピレスリン(Pyrethrin) | 安全 | 高濃度は禁止 |
| フィプロニル(Fipronil) | 安全 | 猫専用製品は使用可能 |
| セラメクチン(Selamectin) | 安全 | 猫専用製品は安全 |
| フルララネル(Fluralaner) | 安全 | 猫専用剤形は安全 |
BSAVA皮膚科マニュアル第4版に基づきます。同じ成分でも猫用・犬用で濃度や剤形が全く異なります。

多頭飼いの猫・犬がいるご家庭で再発を防ぐ方法
犬と猫を一緒に飼っている場合、同じような事故が繰り返される可能性があります。以下の原則を必ず守ってください。 - 犬にマダニ駆除薬を塗布した後、少なくとも48〜72時間は猫と隔離 - 保管時は犬用と猫用の薬を別の引き出しに分けて保管し、ラベルで明確に表示 - 散歩後は、猫が犬の背中や首の部分をなめないように注意 - 「天然ハーブ製マダニ駆除薬」でもピレスロイド系成分が含まれている場合があります — 必ず成分表示を確認

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] BSAVA Manual of Canine and Feline Dermatology, 4th Ed — Tick & Mite Treatment Chapter
[2] Principles and Practices of Canine and Feline Clinical Parasitic Diseases — Ectoparasiticide Safety
[3] Plumb's Veterinary Drug Handbook — Pyrethrin/Permethrin Toxicity in Cats
[4] Boland LA, Angles JM (2010), Feline Permethrin Toxicity: retrospective study of 42 cases, Journal of Feline Medicine and Surgery