猫の角膜潰瘍は、24時間以内に対応が必要な眼科の緊急疾患です。原因から診断・治療、家庭でのケアまで、飼い主さんが知っておくべき重要な情報をまとめました。


今すぐ病院へ連れて行くべきサイン
次のいずれかに該当する場合は、24時間対応の動物病院へ直行してください。穿孔や失明につながる可能性があります。 - 黒目(角膜)に、くぼんだ穴のような欠損が見られる場合 - 角膜がゼリーのように溶けて流れてしまうような状態(角膜融解) - 目から濃い膿が絶えず出たり、腫れ上がったりする場合 - 痛みにより24時間以上、目を全く開けられない場合 - 黒目の色が青っぽく、または赤っぽく変色した場合 絶対に人用の目薬(特にステロイド成分を含むもの)を勝手に使用しないでください。角膜潰瘍をさらに深くしてしまう恐れがあります。
| 項目 | 表層潰瘍 | 実質潰瘍 | デスメ膜瘤・穿孔 |
|---|---|---|---|
| 治療方法 | 内科治療が中心 | 内科+状況に応じた外科 | 外科的救急手術 |
| 主な薬剤 | 広域抗生物質の点眼、人工涙液 | 強化抗生物質の点眼、自家血清、散瞳薬(アトロピン)、全身抗生物質 | 結膜移植手術+全身抗生物質・散瞳薬 |
| FHV疑い時 | 抗ウイルス薬を追加 | 抗ウイルス薬を追加 | 手術後に抗ウイルス薬 |
| 回復期間 | 通常5〜7日以内(再検査で治癒) | 2〜4週間 | 手術後数週間以上 |
| 予後 | 良好 | 瘢痕の可能性 | 視力喪失のリスク |
治療方針は必ず獣医師の診断によって決定されます。表は一般的な傾向です。

品種や年齢によって特に注意が必要な猫
次の猫は、角膜潰瘍の発症リスクが平均より高いです。普段から目の状態をよくチェックしてあげてください。 - 短頭種猫(ペルシャ・ヒマラヤン・エキゾチック):眼球突出と涙の排出異常により慢性的な刺激を受ける - 猫:母体由来の免疫が低下する8~12週齢で、ヘルペスウイルスの初発症状が現れやすい - 多頭飼育世帯:喧嘩による爪の傷が頻繁に発生する - 高齢猫:涙の分泌量が減り、乾性角結膜炎を併発する可能性がある - 免疫抑制状態:FIV・FeLV陽性の猫は、潰瘍の進行が速い

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Clinical Atlas of Canine and Feline Ophthalmic Disease, 2nd Edition, Chapter 90 Stromal Ulcerative Keratitis
[2] 100 Top Consultations in Small Animal General Practice, Chapter 61 Corneal Ulcers, Jim Carter
[3] The Veterinary Workbook of Small Animal Clinical Cases, The New Kitten Wellness Examination