猫の注射部位肉腫は、ワクチン接種や注射をした部位に発生する悪性の軟部組織腫瘍です。接種部位の適切な選択と定期的な観察により、リスクを低減することができます。

| 項目 | 従来の方式 | WSAVA・AAFP推奨 | 最近の動向 |
|---|---|---|---|
| 狂犬病ワクチン | 首/肩の間(肩甲間) | 右後ろ足の膝より下 | 右後ろ足の膝より下(尾への接種はまだパイロット研究段階) |
| 猫白血病(FeLV)ワクチン | 首/肩の間(肩甲間) | 左後ろ足の膝より下 | 左後ろ足の膝より下(尾への接種はまだパイロット研究段階) |
| 基本ワクチン(FVRCP) | 首/肩の間(肩甲間) | 右前足の肘より下 | 右前足の下または脇腹など分散して接種 |
| 選択の理由 | 接種のしやすさ | 腫瘍が発生した場合、脚の切断など広範囲切除で完治を試みられる | 肩甲間は切除が難しいため部位を標準化・分散する傾向にあり、尾への接種はまだ研究段階です |
動物病院によって推奨が異なる場合があります。うちの子がどこにどのワクチンを打ったか、記録を必ずもらっておいてください。

このような場合は、直ちに腫瘍検査を受けてください。
次のいずれかの兆候が見られる場合は、動物病院で細針吸引検査または組織検査を受ける必要があります。単純な切除では不十分で、診断後に広範な切除(腫瘍周囲の正常組織5cmおよび筋膜2層を含む)や、場合によっては四肢の切断を検討しなければならないケースが少なくありません。 - 注射部位の腫瘍が3ヶ月以上持続する - 腫瘍の直径が2cm以上である - 1ヶ月以内に急速に増大する腫瘍 - 腫瘍が皮下で硬く固定されており、移動性が低い - 腫瘍表面の皮膚が潰瘍化または出血している

それでも、ワクチン接種は必ず受けさせましょう。
注射部位肉腫が怖いからといってワクチン接種を控えることは、むしろより危険な選択です。狂犬病、猫白血病、汎白血球減少症などの感染症にかかる確率は、注射部位肉腫の発生確率よりもはるかに高く、致死率も比較になりません。リスクを低減させる正しい方法は「接種をしないこと」ではなく、「必要なワクチンを適切な部位に、適切な間隔で、補助剤不使用ワクチンを優先して接種すること」です。愛猫のライフスタイル(外出の有無、他の猫との接触の有無など)に合わせた個別のワクチンプランについて、動物病院にご相談ください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Little SE (ed.), The Cat: Clinical Medicine and Management, 2nd Edition, Chapter on Feline Vaccination and Injection-Site Sarcoma
[2] Hartmann K et al., AAFP Feline Vaccination Advisory Panel Report, Journal of Feline Medicine and Surgery, 2013;15(9):785-808
[3] Ettinger SJ, Feldman EC, Cote E (eds.), Textbook of Veterinary Internal Medicine, Chapter on Soft Tissue Sarcomas in Cats
[4] Hendrick MJ, Mechanisms of vaccine-associated sarcoma formation, in Clinical Medicine of the Dog and Cat 4th Ed