猫の膵炎の管理に必要な低脂肪・高消化性療法食5種類を比較し、急性・慢性の段階に応じた選び方や与え方の注意点を一挙にまとめました。

| 項目 | ヒルズ i/d キャット | ロイヤルカナン GI キャット | ピュリナ EN キャット | ロイヤルカナン 加水分解タンパク HP | ヒルズ z/d キャット |
|---|---|---|---|---|---|
| 脂肪含有量(乾物量) | 11.8% | 11.5% | 13.2% | 10.3% | 9.8% |
| タンパク質の形態 | 一般動物性 | 一般動物性 | 一般動物性 | 加水分解 | 加水分解 |
| 急性膵炎 | 推奨 | 推奨 | 補助 | 推奨 | 最優先 |
| 慢性管理 | 最優先 | 最優先 | 推奨 | 推奨 | 補助 |
| 剤形 | ウェット・ドライ | ウェット・ドライ | ウェット・ドライ | ドライ | ウェット・ドライ |
2026年5月時点の国内流通製品のラベルデータです。正確な数値は製品パッケージをご確認ください。


この兆候が見られたら、すぐに病院へ——急性膵炎の緊急サイン
猫の膵炎は犬と異なり、症状が曖昧なため、飼い主が見逃しやすい傾向があります。実際、猫は犬に比べて嘔吐や腹痛が明確に現れるケースが少なく(半分未満)、最も一般的で重要なサインはむしろ「元気低下」と「食欲不振」です。したがって、嘔吐がなくても次のサインが24時間以上続く場合は、餌の変更よりも緊急の受診を優先してください。 - 24時間以上の完全な食欲不振(最も一般的で重要なサイン) - 無気力・沈うつ・隠れ行動(嘔吐がなくても必ず注意) - 繰り返す嘔吐(猫ではそれほど一般的ではありませんが、併発すると危険なサイン) - 黄疸(歯茎・眼球結膜の黄色化) - 脱水の兆候(皮膚テントサイン)・普段より冷たい手足の先・耳 特に黄疸が見られる場合は、膵炎に胆管炎・腸炎が合併する「三重炎(トライアディティス)」の可能性があり、入院検査が必要です。
長期にわたり療法食を使用する際のチェックポイント
処方食は「生涯飲み続ける薬」ではなく、膵炎の活動性が落ち着いてきたら、一般的な消化器ケア食へ段階的に戻すことも検討できます。6ヶ月以上単一の処方食のみを与えている場合は、以下の点を確認してください。 - 3〜6ヶ月ごとにfPL(猫膵臓特異的リパーゼ)の再検査 - 体重・筋肉量のモニタリング(低脂肪食の長期化による筋肉減少に注意) - ビタミンB12・葉酸の値の確認(慢性膵炎では欠乏しやすい)

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Fascetti AJ, Delaney SJ. Applied Veterinary Clinical Nutrition, 2nd Ed — Commercial and Home-Prepared Diets
[2] Schaer M, Gaschen F. Clinical Medicine of the Dog and Cat, 4th Ed — Section V: Elements of Therapy
[3] Xenoulis PG, Steiner JM. Current concepts in feline pancreatitis. Topics in Companion Animal Medicine, 2008